【書評】最高の老後
こんにちは、ステフです。
ツイッターやNewspick等でよく見かけ、発信力のある、山田悠史先生の書かれた「最高の老後」という本、めっちゃよかったです!
メインは一般向けに書かれたと思いますが、医療従事者にもタメになる、刺さる内容でした。医学書より実践的で本質的な切り口に驚かされ、あっという間に読破しました。
- Mobility
- Mind
- Medications
- Multicomplexity
- Matters Most to Me
超重要でぐっときた2点を紹介します。
まず日本の健診が、海外の健診とまるっきり異なるということは知りませんでした。僕も健診業務はしており、健診ってエビデンスのないものが多いんだよなー、本当に意味があるのかなー、と思いながら、X線を見ていました。
日本は、良くも悪くも検査主体で、海外は問診主体の違いがあります。日本は戦後に肺結核蔓延の問題があり、その名残でX線検査は残っているそうです。X線では、正直、肺尖部/横隔膜下/心臓裏の肺結節は、わかりようがありません。肺癌を狙っている検査としては感度が非常に低いと言わざるを得ません。欧米の健診はUSPSTFという健診スクリーニング検査の益害をまとめてくれているサイトがあります。それに応じて、健診内容をupdateしていくようです。早期発見によって早期治療に結び付けられ、死亡率低下ないしは医療費削減といったOutcomeで健診内容も見直しをしていく時期なのかもしれません。
Matters Most to Meの章では、「生きがい」が医学的判断に与える影響が非常に大きいことを考えさせられました。僕は、へき地診療所での外来では、「今楽しいこと、生きがい」を聞くようにしていましたが、そこまでの意味があるものだとは思っていませんでした。また、「死に直面している人の約10人に7人は自分で意思決定ができない」という事実は、現在地域包括ケア病床で働いている身として、納得のデータでした。個人的には、8割以上は意思決定能力はないという感覚があり、日本においては更に高いのではないかと思います。これからの医療のKey wordになるのが、「生きがい」Matters Most to Meなのは間違いありません。
本書は、医療従事者、特に医師以外の方々は必読と思います。医療従事者以外は内容がやや高度で難しいのではないかと思います。是非お勧めです。
読書欲が高まってきたこの頃。
ではまた!
【些末な日常】IELTS頑張ります!
こんにちは、すてふです。
地域包括ケア病床の地域医療拠点病院と衛星診療所に勤めて、早2ヵ月。
かねてから公衆衛生の勉強がしたく、オンライン大学院参入を本腰を入れて目指します!
日本のオンライン大学院は充実しておらず、アメリカはめちゃくちゃ学費が高い、、
数千万円もかかります、、ローンデモヤメトクワ
Googleで色々調べてみると、イギリスのオンライン大学院が充実していることがわかりました。さすが、ジョン・スノウの生誕地ですね!コレラを見つけた人です。
3年で250万円、募集は2022年10月から、、
時間がない!!!
募集要項には、IELTS overall 6.5(writing, readingは7.0)以上という要件が、、
まず受けてみましょうということで、先日大阪にComputer-based testのIELTSを受験してきました。ペーパーからCBTに移行しつつあるとのことですが、CBTだと東京大阪でしか受けれないとのことでした。
空き時間に英語の勉強、、はしたかったのですが、ワラワラ。直前に1回分の過去問をチラ見(解いてすらいない)という舐めプで実力を測りました。戒めのために公表します。
ListeningとReadingは問題形式を把握すれば7.0はいけると思いました。Writingが鬼門に感じました。Writing中心に勉強しなければと痛感!
Speakingはなんかヤバいですねハハハ。全く対策してなかったので、「今なんの時間??」っていう謎の間が多くありました。今、対策を立てているところで色々振り返ると、Task 2は2分間は課題に対して喋り続けないといけないという間で、「え??面接官どうしたん?」っていう感じの気まずい沈黙だったと思います。
印象と対策としては、突発的なReactionを求められることが多く、なんとなくしゃべり続けられるスキルや基本的な頻出項目については、すらすら壁に向かって言えるようにならなきゃなと思ってます。Speakingは6.0目指せればいいかなと思います。
【目標】
Speaking 6.0, Listening 7.0, Reading 7.0, Writing 7.0, overall 6.75
今は様々なコンテンツが無料でできる分、自分の弱点に合わせた対処法を的確に見つけるという批判的吟味のスキルが大事になってくると思います。比較的得意だと思うので、頑張ります!
次回は8月に申し込みました。進捗具合で行けそうな感触があれば7月に早めてもいいかなと思ってます。
ではまた!
【些末な診療】農薬か、除草剤か、一体何なんだ
こんにちは、すてふです。
田舎で急性中毒に遭遇しました。
不眠症の背景がある60代女性が、自殺企図で農薬?除草剤?を飲み、その後嘔吐、下痢が出現したため、受診したよう。
おいおい、何飲んだねん!から始まり、ER(小病院の1床のみ)でVital確認しつつ、ざくっと病歴聴取。30分前に農薬?を飲んでとのことで、ABCDはOKであり、CTで気道肺野や粗大な消化管病変確認して、早急に吸収阻害、排泄促進、拮抗薬だ、そして全身管理で転院搬送だ、とてんやわんやしておりました。
農薬?と聞いて、有機リン中毒が脳裏をよぎり、アトロピンとPAMを思い出しました。コリン作動性の症状が出ているはずと思い診察しましたが、徐脈なく、縮瞳なく、発汗や流涎等なく、トキシドロームの同定はできませんでした。
胃洗浄、活性炭投与したしつつ、高次医療機関にコンタクト開始しました。その後に、飲んだと思われる農薬を家族が写真を撮ってきたのをみました。その時には、有機リン中毒の全身管理依頼として紹介をしていましたが、蓋を開けてみれば、除草剤!?でした。グリホサートと界面活性剤が入っているものでした。
ChEも測定しましたが、低下はなく、コリン作動性ではないんじゃねかッテ。
救急車内で、詳しくゆっくり病歴を再度聞いてみると、胃洗浄と活性炭投与したのは、服用2時間後であり、除草剤自体は山に捨ててきたことがわかりました。家族はこれだろうと思い、あてずっぽうで写真を撮ってきたとのことでした。
急性中毒の診療はあまり、慣れてはいませんが、通常のABCDEapproachをはじめ、ADMEを意識して診療に臨むことを行っていました。
ですがですが!
超急性期においては、「結局何飲んだねん」「さっきと言っとること違うやんけ」といった病歴の食い違いが出てくることを強く実感しました。今回は農薬=有機リンだ!、でもコリン作動症状出ていないの違和感あるな、そんなもんなのかな、、
と病歴を疑うという姿勢で臨めなかったです。いわゆるバイアスに囚われていました。
不確実性が特に大きい中毒診療においては、不確実であることを強く認識して、思い込むのは危険だと思わされた1例でした。
急性中毒各論も取り上げていこうと思います!
ではまた!
【些末な診療】慢性臓器障害の診かた、考えかた
こんにちは、すてふです。
GWに突入していますね、束の間とはいえ、休みは有難いものです。イエーイ
不定期ですが、ブログも少し板についてきたんですかね。最近は、医学ばかりやっていますが、読書や旅行、たまには競馬ネタとGeneralにやっていきたいと思っていますハハ
ここ1ヵ月で読み直した医学書、というよりこれからのバイブルです。
佐藤先生は、カルテの書き方の本からファンでした!研修医時代は、総合診療医はいない環境でしたが、ひそかに実践していて、Generalな視点をなんとかkeepしていました。研修医2年目に購入し、目を通してみて興味を惹かれるも、臓器別ローテでの仕事、勉強に追われており、そっと本棚(私の場合は段ボール)におかれていました。
ここ1ヵ月、50床の地域包括ケア病床を持つ小病院の総合診療専攻医として派遣され、読み直そうと、コツコツ読んできました。最後のあとがきには、共感を超えて、感動させられました。
総合診療医を目指すDrには、Identity確立、また日常診療での全体像把握にピッタリの1冊であり、医師3年目のこのタイミングで再度出会えて本当に良かった!研修医時代にチラっと目を通した時とは、染みわたる感覚が全く違いました。また、専門医取得に読み直してみるとおそらく違った感覚になるんじゃないかと思います。
総合診療とは、ってすごく難しい質問ですが、「何でも診る医師」と短く個人的にまとめておきます。Multimorbidityというwordが流行っており、それに対応できる柔軟性と知識を持ち合わせることが必要と思います。その際に、本書で用いられた臓器障害ステージアプローチが威力を発揮します。というか、本書は、Common diseaseに対応できるようになろう!というコンセプトの本であり、僕の大好物でした。今後の医師として、軸となりえるような一冊でした。
いつもにまして全くまとまっていませんが、①総合診療に興味がある方、②臓器専門医だが、Generalに協働したい方、是非お勧めです!僕では伝えきれません。
ちなみにCOIはありませんよ。ソンナオオモノデハアリマセンカラ
ではまた!
【些末な診療】終末期の肺炎
こんにちは、すてふです。
印象的な症例からの学びです。
他院で延命目的で鼠径部にCVが挿入されていた、FAST7の認知症のある寝たきり87歳男性を入院で担当しました。入院中に誤嚥性肺炎を起こし、当初の自宅看取りの希望を果たすことができた症例です。
振り返りで反省点をすごく多いですが、結局自宅看取りが達成できて良かったと心から思いました。そんな中参考にしたのは、この2冊。
特にVital Talkのところは実践的でめっちゃ参考になりました。
本症例では、CVをどうするかというテーマに個人的に固執してしまい、CVを抜いてほしくないことの真意を捉えることができていなかったことが良くなかったかなと思いました。
今から思えば、本人に苦痛となるようなことを与えたくない、一方で何か手助けできるようなことをしたい、その一環でのCVは抜いてほしくないという発言だったと解釈しています。
終末期に、お酒をスポンジで嗜ませてあげたときの家族の雰囲気から、「家族にもできることを提示してあげること」の重要性が伝わってきました。寄り添ってあげることも十分なんだとしっかり言えばよかったな、と。
ただ、多職種に支えられ、自宅看取りを達成できて、結果的には良かったと思っています。次からは、相手の発言の真意を深く探っていき、滑らかな病状説明を行いたいと思います。
今日は、ただただ感想でした!
総合診療医として、誤嚥性肺炎の診療の質の向上に努めていきたいと思わされました。
ではまた!
【些末な診療】蕁麻疹
こんにちは、すてふです。
前から思っていましたが、蕁麻疹って謎ですよね。トツゼン
今日、来たんですよ。難治性蕁麻疹で発作収まってたけど、また起きちゃったって人。一時期PSLまで使ってたみたいで。
なんか分類はいっぱいあるけど、結局は原因がわからないことが多いよねー
って今まで抗ヒスタミン薬だけ処方していたのが現状です。
そんな日常診療に喝!を入れていきます。キラクニヤリマス
蕁麻疹の分類は多すぎる!
ガイドライン中心に調べてみました。いきなり分類です。
こんなにあるんすね、、タニンゴト
定義は、「紅斑を伴う一過性、限局性の皮膚ないし粘膜の浮腫が病的に出没する疾患」とされています。結局最後は肥満細胞からのヒスタミン!という疾患群です。
血管性浮腫という病型がありますが、皮膚ないし粘膜の深部に現れる限局性浮腫の総称であり、蕁麻疹という大きな枠組みの1病型と捉えればよいそうです。
分類が多すぎるので、さくっと頻度的には、①特発性、②物理性/コリン性、、、
想起しやすい、アレルギー性は実は稀なのです。1型アレルギー検査は正直ほとんど役に立たないのですね。
血管性浮腫のTips
先程、「血管性浮腫は蕁麻疹に含まれる」と言いました(僕が勝手に)が、例外が2つあります。ダイジデス
- ブラジキニン起因性血管性浮腫
- 遺伝性血管性浮腫
Keywordはブラジキニンです。
ヒスタミンを介するか、ブラジキニンを介するか、この視点は斬新でした。
ブラジキニン起因性の場合は、皮膚症状は伴わない。しかし、喉頭浮腫はEmergencyであり、即座に対応するべきである。アナフィラキシーを疑いつつ、普段のアナフィラキシーとなんか違う場合は、トランサミンを投与してみちゃってもいいかもしれないですね。まあ、改善したらどっちのおかげかわかんないですけどハハ
学生時代に、ACE-i内服によるブラジキニン起因性血管浮腫をICU当直実習の際に経験しました。口に風船つっこまれているようでした。経鼻挿管も厳しく、緊急気管切開の術野に入らせてもらったのも懐かしい記憶です。カッコヨカッタナ
治療の考え方
原因・悪化因子の除去・回避!とH1Blocker中心の薬物治療です。
ここで大切なのは、薬物治療しながらも原因を常に探っていく姿勢です。思いもよらぬ原因があるかもしれず、それを回避すれば済む話かもしれません。
わかったこととしては、蕁麻疹はアレルギー疾患としてではまく、蕁麻疹というくくりで捉えた方がしっくりくることですかね。あとは、ヒスタミン派とブラジキニン派かな。
ではまた!
【些末な診療】IPMNはややこしや?
こんにちは、すてふです。
最近はネタがほんとに多い症例に当たりがちなのじゃ。Multi-mobidityはすっごい複雑だからこそ、ひとつひとつまずは基本に忠実に診療しようと思いまする。
ベースの知識があるからこそ、判断や思考に深みが出るのをつくづく感じています。
そんな中、IPMNをおさらい!
Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm of the pancreas
IPMNを見つけるのは、ほとんどが偶発的なんじゃないかと。
その中で、MRIでMain ductかBrach-ductかを評価して、適切なManagementへ。具体的には、EUS-FNA適応なのか、そのままSurgery適応なのか。
よく言われていたおなじみのHigh risk stigmata(スティグマータ)は変わらずですね。
マータってなんよ、googleによると少なくとも英語ではなさそうです。
Pointは、①主膵管10mm以上、②Cyst30mm以上、③なんかもっちりしている
どうでしょうかハハ
IPMNの実際
実際とか書いておいて、権威でも全くなく、症例をそこまで多く見たわけでもないですが、、ヒクツニナルナ
IPMNが見つかる人って、だいたい高齢者で、、予後10年はなさそうで、しかもSurgeryとなると飛びぬけて侵襲が高くなるという、、
Uptodateの疫学チックなものを眺めてみました。
- 経過観察が選択された8/60にinvasive carcinomaが発生。
- 手術非適応を集めたとき、60%は無変化、40%は増大。
- その研究では、carcinomaはなかった。
やはり言えることは、前癌病変というのは間違いない。アタリマエダナ
Criteriaかからないものでも、半分弱が増大してくる。いずれはOpe適応になることも考えられる。ただ、逆に半分強は無変化であるという現実もある。入念に評価できれば、経過観察も許されるということだろう。
その際には、壁在結節や充実成分を見逃さないように、EUSを依頼するという選択肢を常に持っておくことが大切ですね。ソウデスネ
IPMNはややこしやと書きましたが、そこまでややこしくはなかったかな。
ではまた!