Dr.すてふの備忘録@岐阜

旅と、競馬と、時々医学。

【書評】最高の老後

こんにちは、ステフです。

 

ツイッターやNewspick等でよく見かけ、発信力のある、山田悠史先生の書かれた「最高の老後」という本、めっちゃよかったです!

メインは一般向けに書かれたと思いますが、医療従事者にもタメになる、刺さる内容でした。医学書より実践的で本質的な切り口に驚かされ、あっという間に読破しました。

 

[山田悠史]の最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM

  1. Mobility
  2. Mind
  3. Medications
  4. Multicomplexity
  5. Matters Most to Me

超重要でぐっときた2点を紹介します。

 

まず日本の健診が、海外の健診とまるっきり異なるということは知りませんでした。僕も健診業務はしており、健診ってエビデンスのないものが多いんだよなー、本当に意味があるのかなー、と思いながら、X線を見ていました。

 

日本は、良くも悪くも検査主体で、海外は問診主体の違いがあります。日本は戦後に肺結核蔓延の問題があり、その名残でX線検査は残っているそうです。X線では、正直、肺尖部/横隔膜下/心臓裏の肺結節は、わかりようがありません。肺癌を狙っている検査としては感度が非常に低いと言わざるを得ません。欧米の健診はUSPSTFという健診スクリーニング検査の益害をまとめてくれているサイトがあります。それに応じて、健診内容をupdateしていくようです。早期発見によって早期治療に結び付けられ、死亡率低下ないしは医療費削減といったOutcomeで健診内容も見直しをしていく時期なのかもしれません。

 

Matters Most to Meの章では、「生きがい」が医学的判断に与える影響が非常に大きいことを考えさせられました。僕は、へき地診療所での外来では、「今楽しいこと、生きがい」を聞くようにしていましたが、そこまでの意味があるものだとは思っていませんでした。また、「死に直面している人の約10人に7人は自分で意思決定ができない」という事実は、現在地域包括ケア病床で働いている身として、納得のデータでした。個人的には、8割以上は意思決定能力はないという感覚があり、日本においては更に高いのではないかと思います。これからの医療のKey wordになるのが、「生きがい」Matters Most to Meなのは間違いありません。

 

本書は、医療従事者、特に医師以外の方々は必読と思います。医療従事者以外は内容がやや高度で難しいのではないかと思います。是非お勧めです。

 

読書欲が高まってきたこの頃。

ではまた!