Dr.すてふの備忘録@岐阜

旅と、競馬と、時々医学。

【病院経営学(仮)】診療報酬が改定されているらしいぞ

こんにちは、stayfoolish@研修医です。

 

4月1日から3日と新入社員の皆様、お疲れさまでした。緊張と長いオリエンテーションとでかなり疲れましたよね。よく頑張りました!パチパチパチ

 

幸いにもまずはモラトリウムとして土日に英気を養うことができる幸福を深く味わっております。今日の夜はカレーでした!ダイコウブツナリ

 

今週はオリエンテーション祭りでした。

一番疑問に思ったのが

「病院ってどういう戦略で経営しているんだろう?加算だけ意識してても市場社会の競争には勝てなくないか?」ってこと。

 

うちの病院は、DPC認定病院になるやら、高密度医療を高回転させていくためにもできる検査はとことん行うなどと言った方針を掲げていましたが、果たして果たして。ワケワカランワチョッピリイカリ

 

というか、できる検査をとことん行うっていうのは大反対ですね。

まず、患者さんにとって良くない。そして検査技師の負担が増える。オーダーするのは簡単かもしれないが、冷静に考えてほしい。

研修医的には、オーダー専門医になりたくない。検査第一主義になれば、ろくに病歴や身体所見を取らない医師を生産することになりかねない。これはまじで危険な方針だと思います。ちょっとちょっと教育病院としていかがなものなのか。

 

まあまあいったん落ち着いて下さい、stayfoolishさんよ、と。

 

経営目線からちょっくら病院を俯瞰してみようかしら、と天の声が聞こえまして、ちょいと調べてまとめてみました。

 

経営と経済目線から医療費について考えてみるので、使う言葉が適切でなかったり、表現がなっていないところがあるかもしれませんが、頑張ります。(笑)

 

病院はどうやってお金を稼いでいるのでしょうか。答えはシンプルで患者さんという顧客がいるからです。しかし、患者さんは「基本」3割しか医療費を負担していません。残りは医療保険の保険者が病院に支払っているのです。

 

病院の経営で一番大切なのは患者さんということもできると思います。ここで、患者さんからどのようにして医療費を頂いているのかを確認する必要があります。

 

ずばり診療報酬に答えはあります。2年に1回診療報酬改定がなされ、国家の戦略に沿って医療機関が向かってくれるように、診療報酬の加算を逐次変更しているのです。

 

例えば、急性期病院での入院期間を減らして、病診連携や介護連携を利用して、地域で患者さんを診ていく方針を国家が打ち出しているとしましょう。(実際そうです。)この場合、入院期間が長くなればなるほど、患者さんから医療費を請求できなくなる仕組みを国家が定めます。これが診療報酬改定と呼ばれます。そうすることによって、入院期間が短くしないと病院経営上、赤字になってしまいかねません。人間は利潤を追求する生き物ですから、そこを活用されて尻をたたかれ、病院が変わっていかざるを得なくさせられているともいえます。

 

また、DPC(Diagnosis-Procedure Combination)についても触れる必要があります。コンセプトは出来高ではなく、医療行為を包括した1日単位の包括評価として診療報酬を定めましょうということです。以前は、必要のない医療行為をして利益を得ていたなんてこともあったかもしれませんが、現在では最も医療資源を投入した疾患に対して一日当たりの診療報酬が定められているので、めちゃくちゃに無意味な医療行為は行われなくなったと思います。やっても病院が損するだけですからね。

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今回の診療報酬改定において個人的に気になったことを3点ピックアップしました。細かいことは書きません。ザックリザックリト

 

・救急車2000件/年間、以上の医療機関に対する加算が新設

・在宅エコーの加算が新設。

・ポリファーマシー解消に向けて減薬に対しての加算の新設。

 

気付いたら新設ばかりピックアップしてしまいました。既存の加算内容についてあまり理解できてないのもあります。

 

救急車2000件は大病院だと言えます。加算を新設するのはよいですが、大病院だけでよいのかは疑問です。1次2次救急に対しての加算が設置されていないことから、大病院に救急車が流れ込むといったことが考えられ得ると思います。それこそアメリカのER型救急を目指しているのでしょうか。医療従事者的には、ER型救急の方が働きやすいのでしょうか。どうなのでしょう。

 

在宅エコーやポリファーマシーについては、国家がムーブメントを起こして、地域医療に従事する医師に向けてメッセージを与えてくれたことは良いことだと思います。欲を言えば、ポリファーマシー加算をもっとつけてよいと思いますが、ドラスティックな改革はいきなりは難しいということなのでしょうか。

 

最後に病院の未来について考察します。

 

2011年に混合診療最高裁で禁止されてから「医療の非営利性」が確立されました。そこから病院のチェーン化と複合体化が進みました。簡単に言うと、ピラミッド型の地域型中央集権から外れるなという動きです。「地域完結型の医療」が推進されています。

 

僕は2年後には地域の診療所で働くことになりますが、病院と縁は切れません(笑)。地域完結型の医療はその地域の病院が中核として存在することが前提にあるからです。だから、病院は積極的に病診連携や介護との連携、地域づくりに本格的に舵を切らなければならないと思っています。今まで以上に患者さんの診療を「空間的時間的」に支える役割が病院に課されているのです。

 

なんか病院経営学に少しずつ興味を持ってきました。最初言っていた「検査をやりまくる」というのは診療報酬改定の小手先で踊らされているにすぎないということなんですね。あくまでそういう方針のようです。

 

大切なのは、歴史を理解し、失敗から教訓を得て、長期を見据えたうえでマインドを持ち続けていくこと。小手先で動かされているようでは誰も後をついてこないと思いますね。

 

えらそうなことばっか口走ってすみません。病院経営については興味があるので、もっと勉強すればまた新たな視点があると思います。

 

ではまた!