こんにちは、すてふです。
田舎で急性中毒に遭遇しました。
不眠症の背景がある60代女性が、自殺企図で農薬?除草剤?を飲み、その後嘔吐、下痢が出現したため、受診したよう。
おいおい、何飲んだねん!から始まり、ER(小病院の1床のみ)でVital確認しつつ、ざくっと病歴聴取。30分前に農薬?を飲んでとのことで、ABCDはOKであり、CTで気道肺野や粗大な消化管病変確認して、早急に吸収阻害、排泄促進、拮抗薬だ、そして全身管理で転院搬送だ、とてんやわんやしておりました。
農薬?と聞いて、有機リン中毒が脳裏をよぎり、アトロピンとPAMを思い出しました。コリン作動性の症状が出ているはずと思い診察しましたが、徐脈なく、縮瞳なく、発汗や流涎等なく、トキシドロームの同定はできませんでした。
胃洗浄、活性炭投与したしつつ、高次医療機関にコンタクト開始しました。その後に、飲んだと思われる農薬を家族が写真を撮ってきたのをみました。その時には、有機リン中毒の全身管理依頼として紹介をしていましたが、蓋を開けてみれば、除草剤!?でした。グリホサートと界面活性剤が入っているものでした。
ChEも測定しましたが、低下はなく、コリン作動性ではないんじゃねかッテ。
救急車内で、詳しくゆっくり病歴を再度聞いてみると、胃洗浄と活性炭投与したのは、服用2時間後であり、除草剤自体は山に捨ててきたことがわかりました。家族はこれだろうと思い、あてずっぽうで写真を撮ってきたとのことでした。
急性中毒の診療はあまり、慣れてはいませんが、通常のABCDEapproachをはじめ、ADMEを意識して診療に臨むことを行っていました。
ですがですが!
超急性期においては、「結局何飲んだねん」「さっきと言っとること違うやんけ」といった病歴の食い違いが出てくることを強く実感しました。今回は農薬=有機リンだ!、でもコリン作動症状出ていないの違和感あるな、そんなもんなのかな、、
と病歴を疑うという姿勢で臨めなかったです。いわゆるバイアスに囚われていました。
不確実性が特に大きい中毒診療においては、不確実であることを強く認識して、思い込むのは危険だと思わされた1例でした。
急性中毒各論も取り上げていこうと思います!
ではまた!