Dr.すてふの備忘録@岐阜

旅と、競馬と、時々医学。

【些末な診療】ACPの難しさ

こんにちは、すてふです。

今日はなんとなく振り返りをしていきたいと思います。

総合診療医として3週間経過して

この3週間で症例もそうですが、今までやってこなかったことを多く学びました。初めて主治医意見書や訪問看護指示書を書いたり、多職種カンファや退院支援カンファに参加したり。

 

急性期病院では、全く経験しないことでした。

 

一方で、症例は非常に豊富で、Multi mobidityに対応するのは、本当に至難の業です。本当に幅広い医学知識を持っていないと正しく説明できない。ホンマニ

 

ネタは豊富にあるなかで、Outputをする機会を作っていかないとと切に思います。

 

ACPは難しい

よくよく日頃からのACPが大切と言われていますよね。外来をメインでやるようになって思ったのが、外来でACPを取っている時間は全くない!ということです。バアイニヨリケリヤケド

 

また、人生の局面、特に急性疾患で緊急受診時にACP(というよりも急変時指示かな)をするのには、ちょっと違和感を感じています。急変時には患者さん家族には、未来を予測できないと思いますし、家族関係性が希薄ならなおさらそのタイミングでよいのかと思ってしまいます。

 

後からあのタイミングでACPの話をしておけばよかったと思うことは今後多々あると思います。自分の直観も磨きつつ、簡潔なACPを繰り返していけるようにやっていこうと思います。

 

ER/ICUを主軸にしたい

やはりサブスペというか、自分の得意分野はもちたいものです。GIF/CFは着々と研修できていますが、本業という心持ではありません。

 

地域において急変時初期対応は、めちゃくちゃ大事だと思います。初期対応で高度医療に繋げるか、その自信があるだけで、地域には重宝されるのではと思います。

 

家庭医として修業する一方で、ER/ICU初期対応できるようになりたく、そこを専門にやっていきたいという想いが強まった、そんな3週間でした。

 

 

起伏のない、平坦なお話でした。とりあえず今の心境をまとめました。

片頭痛を薬でごまかしながら、当直の合間からお届けしました!

 

ではまた!

【些末な診療】類白血病反応

こんにちは、すてふです。

 

新しい職場に馴染めてきた頃かなと思っていますが、同時に「疫病神」扱いされつつあります。なんか担当外来や当直がとにかく大変なのです。ナンデカナー

気を取り戻して頑張っていきます。お陰様で日々のネタは豊富なのです。

 

【症例】

・79歳女性

・持続性心房細動(レートコントロールに難渋)による慢性心不全で1年前まで外来通院中

・臨床兆候改善したからか1年間はDrop out

・2週間前から体動困難になっていたが、本人の強い希望で医療機関受診なし

・ついには意識障害を伴ったため、救急要請

 

Heavy感が漂ってきますね。ツッコミどころと切り口が満載です。

結果的に、左MCA領域の心原性脳塞栓症による失語+αにより体動困難となり、二次的に脱水を引き起こし、AF tachyで酸素化低下している意識障害E3V3M6おばあちゃんといった感じです。ツタイタイコトツメコミスギタ

 

臓器障害は著明にあり、凝固異常もあるのですが、その中で白血球増多と高LDH血症(>1000)が認められ、その切り口に着目してみたいと思います。

 

白血球増多といえば、誰もが感染性を思い浮かべる思いますが、一歩立ち止まってみます。まずは分類です。

  1. 腫瘍性
  2. 反応性

ほとんどが、反応性のうちの感染性と思いますが、ストレス、喫煙、Meds(ステロイド、G-CSF等)の原因があります。本症例では、LDH上昇を伴っているので、「LDH does not lie」に従い、まずは造血器腫瘍が背景にないか疑います。ここで造血器腫瘍のmimicとして「類白血病反応」というカテゴリーがあるんです!

 

基本的には、反応性の場合は成熟白血球が出現しますが、未分化の芽球が多いからといって造血器腫瘍と思い込むのはダメなんです。「類白血病反応」カテゴリーを思い出すのです。

対抗馬はCMLを軸として、ヒモ探しとしては

  1. 敗血症、粟粒結核のような重篤な感染症
  2. 固形腫瘍の骨髄転移
  3. G-CSF産生腫瘍

この3つを押さえて組み合わせると、おそらく万馬券になるでしょう。特に②③なんかはそうとう跳ね上がるでしょうねハハ

 

【学び】

・日頃の白血球増多を深く

・「類白血病反応」は万馬券を当てに行くイメージ

 

それでは!

【些末な診療】橈骨遠位端骨折

こんにちは、すてふです。

 

毎週火曜日は、田舎で1日外来をしています。0歳から100歳まで多種多様な患者さんが来ます。Common diseaseは奥が深くいつも悩まされます。

 

そんな中昼過ぎ、70代のおばあちゃんが、「犬の散歩で引っ張られて手をついて転んでパキッと音がした!絶対折れとると思う!痛いわこれ!」と受付で声を荒らげて入ってきました。

 

転倒機転の明らかな転移のない橈骨遠位端骨折でした。局所麻酔下で整復を試みましたが、若干改善したものの、転移は完全には整復できず、、固定し翌日整形としました。

 

初期対応として痛感したのは、やはり解剖を熟知していないと整復のノウハウを真に理解できず、応用が効かないことです。こうして駄目ならどうしようもない、といった発想になってしまいます。

 

プライマリケアにおいて、整形外科の知識は非常に重要です。ボクハトボシイデス

これを機に一つ一つ解剖復習しながら、整形疾患を見ていきたいと思います。

 

【学び】

・橈骨遠位端骨折分類 Frykman

・端的にまとめると、尺骨茎状突起骨折の有無、関節内骨折の有無

・舟状骨骨折が合併していないかは常に確認。嗅ぎタバコ圧痛。

・不安定化徴候

  1. 背側への転位が20度以上
  2. 著しい粉砕骨折
  3. 10mm以上の橈骨短縮

 

ではまた!

【些末な診療】漫然とPPIを使用しない!

こんにちは。Dr.すてふです。

 

胃カメラを100件近くやってきて、ついに外来で自分がオーダーしたPtが胃カメラを迎えました!今まで以上になんか緊張感がありました。

 

【症例】

・70歳、男性

・数ヵ月続く、食後の胸やけ感で受診。

・ECG問題なく、GERDの疑いとしてPPI処方。

・消化性潰瘍の鑑別とGERD評価のため、GIF予定。

 

内視鏡診断は、たこいぼびらん、萎縮性胃炎C-1、食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎Grade Mでした。GERDは食道裂孔ヘルニアが惹起したものと考えました。

 

しかし、まあPylori感染胃炎もありそうで、実臨床で学ぶことはいっぱいあります。

今日学んだことは、PPIは重症度評価して、Barrett食道がなく、無症状であれば、8週間でスパっと切ることでしょうか!ピットフォールとしては、鑑別をしっかり行うことでしょうか。PPIの長期使用に伴う副作用は数多く報告されています。GERDに対してのPPIなら切りやすいでしょうが、抗血小板薬、特にアスピリンと処方されているものはアンタッチャブルですよね。なんとかなる問題なのでしょうか。

 

今日行ったGIFでも、今後機能性ディスペプシアになりそうな症例、SMTフォローが必要な症例、等々。いい感じにフォローしていかねば!

 

それでは!

 

 

【些末な診療】外傷性肝損傷

こんにちは。Dr.すてふ@岐阜です。

 

またもや久しぶりの投稿になってしまいましたが、ブログの存在を忘れていたわけではありません。全く習慣化できていなかっただけです。気合で続くほど、ブログの世界は甘くはありませんし、習慣化に勝る最高のツールはありません!エラソウヤノ

 

日頃、今まではEvernoteやGoodnoteに記録してきましたが、Evernoteは使いにくい!ので、最早ここでOutputすることにします。

 

ここ新年度での変化は、初期研修が終了し、50床ほどの岐阜の地域医療拠点病院に勤務になったことでしょうか。衛星診療所も多く、常勤医師で持ち回りで診ている感じです。外来中心ですが、健診、検査(GIFがメイン)、入院、たまにERとマルチタスクではありますが、比較的穏やかに仕事してます!アイショウイイカモ

 

そんな中の外傷性肝損傷の備忘録

【症例】

・92歳男性

・高度認知症でデイサービスとたまにショート利用

・起立後の転倒で右季肋部を床で受傷

 

右季肋部の圧痛があり、腹膜刺激徴候はありませんでしたが、圧痛範囲が肋骨骨折より広いと感じたため、エコー行きました。肝臓に不整で内部不均一なMassがあり、さらにはモリソン窩とダグラス窩に腹水があり、、といった経緯です。転帰の記載は止めておきます。

 

JATEC改定第6版より)

・日本では腹部外傷の88%は鈍的外傷

・肝損傷28.8%、脾損傷16.5%、腎損傷15.5%、空回腸損傷14.5%、膵損傷6.1%

・IVR、開腹術の必要性を早期に判断

 

Uptodate)

・腹部臓器のBlunt injuryで肝損傷は最多

・腹部所見、Hbモニタリング頻回に

・Low grade(Ⅰ-Ⅲ)では死亡率はかなり稀

・High grade(Ⅳ-Ⅴ)では10-42%の死亡率

・肝損傷の8割はNon-operativeでOKだった

・Gradeによらず、画像所見とHbが24時間で変化なければ、帰宅もOK!?

・Follow upに決まったCriteriaはない

 

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【学び】

・他の臓器損傷部位ないか、Gradeはどうかを吟味する

・肝損傷単独なら意外とNon-operativeでも成功する

・IVRと手術のタイミング逃さない

 

ではまた!

【些末な日常診療】糸球体腎炎

こんにちは。Stay foolish@研修医です。

 

更新をひたすらにサボっておりました。

今後はより雑記録として日々の学習をメモしていきます。イチニチイチゼン

 

現在は腎臓内科で研修しており、糸球体腎炎についてちょいと!腎生検カンファに全くついていけていないので、、

 

糸球体腎炎は臨床型と組織型で分類がありますが、組織型を理解すればより臨床が面白くなると思い、今回は組織型をまとめてみます。

 

ざっと7分類!

  1. 微小変化群 minimal change disease
  2. 巣状糸球体硬化症 focal glomerulosclerosis
  3. 膜性腎症 membranous nephropathy
  4. 膜性増殖性糸球体腎炎 membranoproliferative glomerulonephritis
  5. IgA腎症 IgA nephropathy
  6. 管内増殖性糸球体腎炎 endocapillary proliferative glomerulonephritis
  7. 半月体性糸球体腎炎 crescentic glomerulonephritis

それぞれが特徴的な臨床型を呈する!

その中でもIgA腎症だけ、特別扱いが非常に気になります。様々な臨床型を取るようです。組織型も様々だとか。

IgA腎症様だけは本当に寵愛されている感じです。プライマリケアでも関わる機会は多そうです。

 

ほとんどがネフローゼ症候群の臨床型を呈しうる。その中でも二次性ネフローゼ症候群の原因としては

  1. 糖尿病
  2. SLE
  3. アミロイドーシス

の御三家をがっちりおさえておく必要がありそうです。

 

やっぱり治療に結びつけるためには、腎生検が必須です。腎臓内科の先生方は、スナイパーのごとく腎臓の皮質のみをえぐりとってきます。テクニックハンパナイ。

 

電顕画像は正直あまり訳がわかりませんが、腎臓内科医のノリについていけるようにあと1ヵ月コツコツと1日1善のペースで

 

明日は有馬記念ですね。クロノジェネシス応援してます!でも1日当直なんよ、、

ではまた!

【些末な日常診療】NSAIDSによる急性腎障害

こんにちは。Stayfoolish@研修医です。

 

充実した2ヵ月の与論島での地域研修が終了してはや3週間が経過しようとしている、、

研修病院に戻ってきてから精神科での研修が始まっていますが、一日の診療密度が与論島にいる頃と全く低くて、、怠惰に毎日を過ごしがちになってきてしまっています。ナマケモノー

 

今回は前々から思っていた疑問

「腎機能の悪い患者にNSAIDSは本当に使いずらいのか」について調べてみました

 

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

観察研究のメタアナリシスです。

NSAIDSは糸球体輸入動脈を収縮させ、糸球体血流を低下させます。他の腎血流低下させる薬剤(ACEi/ARBなど)と併用で更に腎障害の高リスクになります。

 

年齢とCKD、NSAIDSのdoseがAKIのリスクとなりますが、具体的な腎機能のラインは明記されず(uptodateではeGFR<60で慎重投与)でした。

 

もちろん漫然投与は良くありませんが、高齢者CKDにおいて水分摂取が管理できるような方における急性期に限る投与は有効なのかもしれませんね。また、調べていきます。

 

ではまた!