Dr.すてふの備忘録@岐阜

旅と、競馬と、時々医学。

【些末なER診療】筋トレは最強のソリューション!?

こんにちは。stayfoolish@研修医です。

 

またまた間が空いてしまいました。カムバックしました。

これからは内容をよりsmartにして更新の閾値を下げていこうと思います。

 

先日、前々から拝見しているブログ「コミュニティーホスピタリスト@奈良」で「場末の臨床診断」を見て、大いに共感しました。

 

stayfoolishの研修病院ではER医が不在の3次救急で不慣れなPGY1/2がCTという高級なおもちゃを撫でまわし、病歴/身体所見が全くと言っていいほどなされていない、「とりあえず画像撮っとけ」といったプラクティスがなされていて、

 

不満タラタラなER当直でずっと憂鬱でした。ハイ

 

挙句の果てには、入院診療科のたらい回しに研修医が奮闘する始末・・・

 

主訴でCriticalな疾患をrule outして、「次の朝まで死なないように」を前提にやっていこうと思います。Crinical questionは「内科診断リファリンス」でしっかり詰めていかないとと思いました。

jyoutoubyouinsougounaika.hatenablog.com

というわけで、ちょっと精神的にも夏バテしていたとこでふと手にとったのがこの本

 

 

書評するよりまず実践しようと思います。

 

筋トレはやらない理由はないと思うので、歯磨きやお風呂同様、日常生活の一部として筋トレ始めていきたいと思います。

 

継続したいので、最初はゆるーく始めていこうかな。

 

ではまた!

【医学目線で書評】泣くな研修医

こんにちは。stayfoolish@研修医です。

 前回の更新からはや2か月がたとうとしてしまっております。

というのも、自分の心に余裕がなかったからなんです。ヨユウトアソビゴゴロ...

 

5月の連休明けから本格的に救急外来の仕事が任されるようになりました。何をするにあたっても葛藤の連続で、患者さんのみならず医療スタッフとのコミュニケーションに苦戦を強いられてばかりでした。

 

チョー基本的な物品の場所すらも全く分からず、上手な「聞き方」を模索する日々でもありました。

 

6月は外科のローテーションでした。始まって2日目の夜に消化管穿孔が2件来て、その日は一睡もできず、夕方のカンファで意識障害になっていたのを思い出します。肉体的にも厳しい外科ローテですが、個人的には精神的にかなりキツかったです。

 

そんなこんなで、精神的に追い詰められていた私にとって、読書の時間は非日常を味わえる嗜好の時間でした。特に、本屋で本を選んでいるときの時間が本当に恍惚です。

 

そしたらこんなタイトルの本が目の前に!

 

 

すぐさま手に取り、裏表紙の説明を読み、即決で購入しました。これがこれが、僕の外科研修の気持ちを代弁してくれていて、それでなお超感動作に仕上がっております。外科研修で自分が体験したことがほとんどそのまま詰め込まれており、個人的な感情移入もあり、3回ほど枕を濡らしました。スミマセン

 

今回は書評と外科ローテの感想をつらつらと。

著者について

現在40歳の現役外科医の中山裕次郎先生。圧倒的リアリティーで描かれる新人研修医の外科研修での心の葛藤を描いています。

 

news.yahoo.co.jp

YahooJapanのコラムも担当しています。作家でもあり、やはり医療のみならず、社会を観察する視点や文章力が素晴らしいと感嘆しております。

作品の概要

研修医は絶対に読んでください!必ず!

そこらの手術書や教科書よりも心に響く、研修医としての在り方に気付かされます。

 

医療従事者でない方にもおすすめです。これが、リアルな現場で、ポーカーフェイスな医師の心情がこれほど綿密に描かれている作品は、やはり現役外科医で多くの辛酸をなめてきた作者だからこそだと感じます。

 

ザックリと概要です。

研修医・・・

医者と非医療者の境界線に立った人間

そんな研修医が自分の無力さに打ちのめされながらもガムシャラに命と向き合い、成長していく姿が描かれています。

 

登場する患者さんを3人pick upします。

①5歳男児。高エネルギー外傷で腸管脱出、多臓器損傷があり、緊急ダメージコントロール手術を行い、ICU管理となった。主人公は毎日回診に行き、回復を祈るものの、状態は不安定そのもの。抜管できたと思いきや、嘔吐から誤嚥し再挿管。ICU退出するも、腸管拡張が増悪傾向で再手術も考えられたが、奇跡的に「おなら」が出ることによって状態は回復していった。

②94歳男性。重度の認知症があり、ADL寝たきりで独居のStage3胃癌。主人公は正義感から手術すべきとプレゼンするが、上級医は総意でBSC。「なんでだよ」と葛藤する主人公。本当の幸せとは何なのだろうか。

③25歳男性。大腸癌の多発肝転移/肺転移、腹膜播種があり化学療法中。癒着性腸閉塞で入院した。主人公とは同い年であり、実は患者さんは医学部受験に失敗している。初めての看取りを経験し、自分の無力さを痛感する。

考察・批評

直前の外科ローテもあり、外科医に対する考え方や印象がガラッと変わりました。

 

以前は、外科の先生は全身管理があまり得意でなかったり、抗菌薬の使い方がめちゃくちゃだったり、カルテがpoorすぎて意味わからんなどといったマイナスイメージばかり抱いていました。確かにそれは事実な部分もある・・・

 

外科ローテでの感想も含めて少々・・

 

 当初から抱いていた外科医の印象は同じ職場で働くことで大きく変わりました。以前は偏った見方しかできておらず、見解が狭かったことを思い知らされました。この2年の研修期間はほぼ毎月研修科が変わり、それはそれで非常にストレスフルですが、医師人生で二度とない経験が得られると思います。内科は個人的に好きで、学問的に多くを学びましたが、各々の科でスタンスが異なり、それを客観的に分析してまとめていきたいと思ってます。僕はおそらく将来的に様々な病院に勤務すると思うので、それらを比較して自分なりのプロブレムリストをまとめていきたいと思ってます。

 

印象に残ったのは「内科は診断学、外科は治療学。」とオーベンに言われたこと。診断のための画像の見方と手術をイメージする立場としての画像の見方は全くもって深みが違いました。一瞬で血管の走行を把握し、合併症を予測して手術のイメージをするのには驚かされました。

 

うちの病院はopen ICUで主治医制なので、外科医は術前管理から手術、術後全身管理のコンダクターでなければなりません。僕は1.4件/dayのペースで術野に入り、回診、術後管理を研修しましたが、非常に体力的に厳しかったです。そして何より精神的にかなり疲弊しました。中でも、術後癒着性腸閉塞を繰り返している方が、嘔吐物誤嚥により誤嚥性肺炎/化学性肺臓炎から敗血症になって夜中に亡くなられ、その直後から平然と膵十二指腸摘出術(PD)をこなすそのギャップに心境がついていけませんでした。

 

何より外科医はいつも落ち着いている。おそらく、普段からイメージトレーニングを行っており、頭の中でマニュアル化ができているのではないかと思います。また、麻酔と挿管の準備を行っている際にオーベン「準備が一番大切で、それができれば手術の9割は終わっている。」と言われたことも鮮明に記憶に残っている。今でこそ、V-line確保や尿道バルーンはそれなりにできるようになったが、最初は何を準備してよいかさえわからず、うまくいかなかった際のことなんて全く考えられていなかった。外科医の落ち着きの背後には相当量の経験と苦学が隠されていることを感じました。

 

作中では、ヒトの体を切るという外科医の責任と「人の命」に親身である研修医の立場と冷静に専門的に対処する外科医の境界が描かれています。

 

叱咤され、自分の無力さを思い知らされつつもメスを握る、外科医の精神力を心から尊敬しています。自分には到底できないと思っています。逃げ出しちゃうわ、絶対に。

 

久しぶりの書評というか感想というかで終わり方忘れました(笑)

まとめ

外科医は余計なことは口にしない。無駄口がないことで、発言全てに意味があることになる。

【医学目線で書評】もしドラ

こんにちは。stayfoolish@研修医です。

 

ステイホーム週間が始まっていますね。自粛ムードが高まってきており、なにかと3密が口癖のようになってきている人は多いんじゃないでしょうか。サンミツダワサンミツ

 

一方でやっぱりちょっと自粛ムードが過剰なのかなーとも思ったり。先行き見えないまま「ここ1,2週間が正念場」と言われても全く刺さる言葉じゃなくて。。。

 

言い方を変えると「今こそ、大切な人と密な時間を過ごすとき!」

とコピーライター的には表現出来たり(笑)

 

個人的に今は表現の仕方について興味持ってて、試行錯誤しながら本を漁っている最中です。やっぱり、表現が上手で引き出しが豊富な人は心から真似したいなーって思えますね。ソコニシビレルアコガレルー

 

けれどもけれども、

総合診療界隈の巨匠、徳田安春先生曰く「PCR未施行で疑似症の軽症者こそ、ホテルなどを利用して徹底的に隔離すべき」と。

 

現在、PCR検査がどんどん拡大されて検査数自体も増えてきていますが、大切なのは死亡者を減らすために感染者数を減らすという基本的な考え方。PCR検査は感度70%で、特異度90%後半と言われています。偽陰性を減らすために2回検査をすべきで(0.3*0.3=0.09となり偽陰性は10%弱に低下します)、陽性的中率は忘れましたが、偽陽性も含めて隔離するという方針が推奨されていきています。怪しい芽は早く紡ぐという発想ですかね。自宅隔離していても、結局は家庭内感染が問題となりますし。

 

てなわけで、

 

本日は、2009年に発売され、売れるに売れた(300万部突破!)、その名を聞いたことはない人はいないというもしドラの書評をします。もしドラは知っていても何の略かはわからないし、読んだことがない方も多いんじゃないかと邪推します。ジャスイノツカイカタマチガッテルキガスル

 

ちなみにもしドラは、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の略です。

 

一言でまとめるなら、

野球部の女子マネージャー×(マーケティングイノベーション

 

といった感じでしょうか。イマイチマトマリガ

 

著者について

岩崎夏海さん、秋元康さんの弟子でAKBのプロデュースに貢献。もしドラは自身で第一作目。

 

ある日突然、秋元康さんに「女子高生をテーマにした小説を書いてくれ」と頼まれたことからもしドラは始まった、らしいです。岩崎さんは、ちょーーどその直前にドラッカーの「マネジメント」を読み、これを小説に落とし込みたいとの一心でもしドラを書き下ろしました。

 

ドラッカーについて説明すると、経営学の父」と言われている人です。2005年に亡くなりました。「人をハッピーにすること」を理念に持ち、社会(組織)の中の人間を生涯にわたり追求しました。「マネジメント」は彼の最高傑作、もとい経営学史上最高傑作となり、世界で最も読み継がれている名著です。

 

(ちなみにちなみに

「経済学の父」は需要供給曲線でおなじみ「国富論」のアダム・スミスさんですよね。「資本論」を読んでみた身としては次に読んでみたい一作です。)

 

そんな「マネジメント」を読んだ岩崎さんが、野球部の女子マネージャーにマネジメントさせるといった、ワクワクドキドキの傑作がもしドラなのです。

作品の概要

弱小ダメダメ野球部を主人公で女子マネージャーのみなみちゃんが「マネジメント」し、甲子園に連れていくという高校生の青春物語をベースとして、経営とは/社会とは/組織とは/を具体的に教えてくれるという内容になっています。

 

ついに最後の最後には、感動の結末が待っており、僕の目頭が熱くなってしまいました。マサカソンナケツマツニナルトハ

 

キーワードはマーケティングです。

まずはじめに、野球部とはなにかという定義付けから始めます。そしてみなみちゃんは野球部とは「野球に関わる人々に感動を与える部」ということで定義します。

 

次に最も大切なステップである、「顧客とはだれなのか」を考えていきます。感動を与えられるのは、観客はもちろん、部員の家族であったり、学校の生徒、そして野球部員自体にも当てはまると結論付けます。

 

まずは、野球部員の一人一人をマーケティングして、詳しく各々の価値感と欲求を把握することから始めます。具体的には、顧問の先生を含め、部員全員と一人一人に面談をしてマーケティングをスタートさせます。

 

ここでやっと顧客の価値観と欲求を把握することができました。次のステップは「役割を持たせ、働きがいを与える」ことです。ここはかなり共感できましたし、働き始めの僕には、骨の髄まで染みわたるような教訓的なことが盛りだくさんでした。

 

ここで「マネジメント」p74の一節を紹介します。

 

働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。そのためには、①生産的な仕事、②フィードバック情報、③継続学習が不可欠である。

By ドラッカー

 

そうしてみなみちゃんは野球部を組織化していきます。具体的には、チーム制を導入したり、チーム内での役割を明確化させ責任を持たせたりして、人の強みを生産的なものにしていきます。

 

もう一節だけ「マネジメント」から借りると

組織の目的は、人の強みを生産に結び付け、人の弱みを中和することにある。

By ドラッカー

 

マネジメントされてきた野球部は次のステップである「イノベーション」に取り組むことになります。イノベーションに関しては岩崎夏海さんの第二作「もしイノ」に詰め込まれていますので、そちらで紹介します。

 

本作では、マネジメントを実際に落とし込んでいく様子が詳細に描かれており、小説としても楽しめる一作になっておりますので、実際に甲子園までの軌跡を知りたい方は是非お手元にとって作品をお楽しみくださいな。1時間ほどで読めちゃいます。

考察・批評

エピローグでは、甲子園出場が決まった際のキャプテンに対するインタビューの様子が描かれています。

 

「甲子園では、どんな野球がしたいですか?」

「あなたは、どんな野球がしてもらいたいですか?」

「え?」

「僕たちはそれを聞きたいのです。僕たちは、それをマーケティングしたいのです。なぜなら、僕たちは、みんながしてもらいたいと思うような野球がしたいからです。僕たちは、顧客からスタートしたいのです。顧客が価値ありとし、必要とし、求めているものから、野球をスタートしたいのです。」

 

 

なんだこのキャプテン、抜かしおって!!と思うかもしれませんが、

最後まで作品を読んできた方なら「うんうん」とうなづける台詞になってます。

 

個人的には最後のキャプテンのこの台詞こそ作者の岩崎夏海さんが喉の奥から出かかっていた言葉がついにもれてしまった一幕かなと感じています。めっちゃ好きです!!この台詞。

 

経営学は個人的に興味があって、組織を作り上げることをずっと学びたいと思ってきました。そしてこのような全体像を把握できる素晴らしい作品に出会えて本当に幸せだなって心から思います。

 

資本論」では、資本主義経済を規定するもの、「商品とはなにか?」という疑問から始まりました。それは労働である、という解答で説明されました。

 

「マネジメント」では、その商品をいかに顧客に届けるかということを効率化させるためのtipsが詰まっています。まずは「顧客はだれで、何を望んでいるのか」という疑問から始めます。その次には、自分が持てる人材をいかに組織化するかに注力します。責任と働きがいを与えるのです。

 

 

マーケティング」するということは、めちゃくちゃ応用が効く、汎用性が高い考え方だと感じました。

 

医療に当てはめてみると、顧客は患者さんであることはもちろん、多職種、他診療科、そして自分たち自身でもあることが言えます。診察することは患者さんをマーケティングしていくことだと思います。患者さんの価値観を知り、欲求を見定めたうえで、一定の折り合い点を共に探していくという作業かなと思っております。

 

また医療従事者におけるチームの役割も「働きがいと責任」が応用されていると感じます。働きがいを与える三原則を再掲します。

  1. 生産的な仕事をすること
  2. フィードバックがあること
  3. 生涯学習ができる環境があること

 

この中でもフィードバックがあることがあまり医療従事者で行われていないと感じます。いわゆるやったらやりっぱなしというわけです。自分自身でのフィードバックや振り返りはそれこそ自分でできますが、自分では気づかないことにこそ価値があり、そこをフィードバックしてもらいたいものです。

 

特に多職種カンファランスなんかでは、お互いの職種を尊重している?あまりか仕事を縦割りしすぎて多職種の仕事内容に首をつっこまないというのが美徳化されているのでしょうか。

 

しかし「マネジメント」では、適切にフィードバックがあったほうが、働きがいを感じられると書いてありますし、実践的であると僕は思います。伝え方は非常に重要になってくるかと思いますが、フィードバックをお互いに交換できるような環境を上手く作っていければと思います。

まとめ

まずは自分の職場においてマーケティングされている例や、まだマーケティングされていない例を探し出していきたいと思います。

 

そこ!、マーケティングさせてください!!と心の中で呟きますね(笑)

 

いま「もしイノ」、もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「イノベーションと企業家精神」を読んだらを読んでいますので、また書評を上げていきたいと思います。

 

それでは!

【息抜き医学】ご飯だよ、全員集合!

こんにちは、stayfoolish@研修医です。

 

そろそろ4月が終わりそうですね。ハエー

4月はみなさんにとって環境の変化が大きく、ストレスも多かったことかと思います。みなさま、お疲れさまでした。自分もお疲れさまでした。ワラワラ

 

ということで五月病に向けて対策が必要なんですよ。

 

五月病って医学的にはうつ病でいいのかなと思ってます。なんで五月病っていうのかというと、五月に多いからだそうな。会社によっては5月に研修終了して6月初旬に配属されるところも多いそうで、六月病と言われることもあるそうな。ヘーヘー

 

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以上はうつ病の診断基準ですが、ポイントは抑うつ気分+興味または喜びの消失に日常生活に対してやる気がなくなることが2週間にわたってみられることです。

 

五月病といわれる所以は、4月最初の2週間はやる気に満ち溢れているけれど、それ以降落ち込んできて、その症状が2週間以上続くとうつ病と診断されるという時間関係があることが推測されます。

 

個人的にはゴールデンウィークの存在も大きいのかなとも思ったり。

 

診断基準的に五月病と覚えておきましょう(笑)

 

 

本日ですが、現在内分泌内科を研修しており、印象に残った症例をパワーポイントにまとめたのでshareしたいと思いまして、投稿しましたのである。

 

「ご飯だよ、全員集合!」

 

タイトルにはあんまり意味はありませんが、血糖関係のこととドリフターズにちなんでいます。志村けんさんが亡くなったのは、個人的に非常にショックが大きく、なんらかの形で記憶に残るようにしておきたかったのです。

 

 
内容を一言でまとめると
薬剤性低血糖症をきたす代表的なものを整理しておきましょう。とのこと
 
このcaseはあるあるみたいなので、総合診療をする際には必ず気を付けておかないといけない教訓的なcaseです。
 

処女作ですので、今後改良が必要かと思われます。もしよろしければshareしてかまいませんので、アドバイス、コメント等あればお願い致します。

 

それでは!

【COVID19特集5】あんなコロナこんなコロナ

こんにちは、stayfoolish@研修医です。

 

糖尿病内分泌内科で2週目が終わりました。

ここ1週間で病棟業務を段々とできるようになってきて充実感を得てきております。とはいっても、このコロナ時世で糖尿病の教育入院は激減しており、主科として診る患者さんはほとんどいない状況なんですよね。その代わり、コンサルトは多くて周術期血糖管理や電解質異常、低血糖など幅広く診れてて毎日好奇心いっぱいで診療できております。その辺はスライドとして症例をまとめていこうと思ってます。

 

ところでstayfoolishさん、面白いニュースが飛び込んできましたよ!

www.mixonline.jp

ふむふむ、コロナ以外で病院受診した人の6%にPCR陽性ですか。これをもとに神戸大学の岩田健太郎先生が面白い統計を出しているらしいっす。

georgebest1969.typepad.jp

このデータを東京都に当てはめると、24-200万人が無症候性COVID19ということになるんだね。

4/24現在だと感染者数は3733人だから、実際は70-600倍の感染者がいるという計算になるんだ。けどけど、慶応大学って研修医が飲み会してヤバいらしいじゃんかー。それもやっぱり影響してるんちゃいますのーー。

おいおいおい!それは確かに慶応大学の研修医に落ち度はあるけれども、その言い方はないだろう。今、医療従事者はCOVID19によって日常診療が大きく脅かされてきているんだよ。次々と院内感染や施設内感染が明らかになっているのは他人事じゃないんだ。

このコロナ時代の医療の目標は医療崩壊を防ぐことだと僕は思ってる。どの程度を医療崩壊と呼ぶかは議論の分かれるところだと思うけど。うちの病院なんかは、二次医療圏の中核病院だもんだから、全ての疑似症や帰国者接触者外来、限りなく怪しいER患者などの対応に追われているんだ。

まず!コロナってどんな症状があるのか、もう一回確認しておいた方がよいですよね。

 

今回は、「あんなコロナこんなコロナ」ということでCOVID19の疾患像を改めてまとめます。

 

文献は4/24段階のuptodate, Coronavirus disease 2019 (COVID19): Epidemiology, virology, clinical features, diagnosis, and preventionです。

 

uptodateとは、医学界で権威の高い二次文献です。

 

まずは重症度の分類から。

・潜伏期間:中央値4日(2-7日)

・軽症例(無症候または軽い肺炎):81%

・重症例(呼吸困難、低酸素血症、24-48時間以内に画像で肺野の50%に病変):14%

・最重症例(呼吸不全、ショック、多臓器不全):5%

・死亡率:2.3%

 

重症化しやすいリスク因子

・心血管疾患

・糖尿病

・高血圧症

・慢性閉塞性呼吸器疾患

・悪性腫瘍

・慢性腎臓病

・肥満(BMI≧40)

 

症状(無症候除く)

・発熱 99%

・全身倦怠感 70%

・乾性咳嗽 59%

・食欲不振 40%

・筋肉痛 35%

・呼吸困難 31%

・湿性咳嗽 27%

・嗅覚障害 34%

味覚障害 19%

・下痢 13%

・悪心嘔吐 10%

・腹痛 9%

 

uptodateにはこれくらいでしたが、本当に多彩な症状を呈します。それだけに非常にやっかいなCOVID19です。COVID19の可能性が限りなくゼロでなければ、Emergency対応においてもCOVID19対応をせざるをえません。

 

以前に岡先生が言っていた「ガードを固めて、正しく恐れる」

 

日本全体で感染者数の急激な増加をなんとか食い止めているのは、保健所をはじめとした院外トリアージシステムが少しずつ出来上がってきた成果だと感じています。これからCOVID19のフェーズはどんどん変わってきますが、最悪の展開を常に想定して、フレキシブルにシステムを改善していけるように、まずは医療の力になれるようにやらねばの使命感ですね。

 

空いてる時間でまたつぶやきブログしてみますかね。

 

それでは!

 

【医学目線で書評】エッセンシャル思考

こんにちは。stayfoolish@研修医です。

 

COVID19で経済形態の在り方が創成されようとされています、このご時世です。3密(密集密閉密接)を避けることは大前提として、ヒトが動く経済からモノが動く経済への転換が進まざるを得ないようになってきてますね。

 

というか、Amazonをはじめ「別にお店いかなくてもネットで全部買えるし楽じゃん」ってことでゆっくりモノ動く経済へとシフトしてたところへCOVID19が直撃。コロナ襲来により経済は大転換を急速に迫られているのです。

 

コロナ時代到来かー2020年って確実に21世紀における大転換点だと思うのは僕だけでしょうか。経済・社会・政治・医療をリアルタイムでダイナミックな変化を目の当たりに実体験できるのは、ある意味いい経験だと思ってます。ほんまに今年から医師ってのもすごい節目ですなホンマニ。

 

勉強したいこと、読みたい本がずらーーって書き溜めてあって。。。どこからやっていこうかなー。どうしようなー。

 

 

そんな僕に舞い降りた光り輝く一冊の本......キラキラキラ

 

「エッセンシャル思考-最小の時間で成果を最大にする」

 

実はサラタメさん(読書系Youtuber)が最高にオススメしていた一冊で、前々から読んでみたかったんですよね。

 

仕事始まって間もないけど、サラリーマンのメンタリティとか投資家のメンタリティを医療界に導入できることは多いんじゃないかと個人的に思ってるところなんですよ。医学生時代から思っていたけど、医療体制ってはっきり言って効率的じゃないし、権威主義的だし、、これ以上はやめときます(笑)

 

そんな悩めるビジネスマン、もとい全ての人類にビシッ、ズバッっと刺さる内容になっております。

 

特にミニマリストには共感できる点が多いんじゃないでしょうか。ボクモミニマリストメザシテマス。「より少なく、しかしより良く」がコンセプトの本です。

 

さっそく行きましょう!ヨッシャ

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著者について

戦略とリーダーシップに関するコンサルティング会社を設立したグレッグ・マキューンさんです。イギリスの法律学校を中退し、「自分が本当にやりたい本質的なものとはなんだろう?」と自問を続け、スタンフォード大学での研究員を経て、現在に至ります。

 

そんな彼の、このエッセンシャル思考を編み出した、その苦い教訓となるエピソードを紹介します。

 

妻が第一子を出産したほんの直後のことだった。「クライアントとの会議に来てくれ。」との電話だった。反射的に「はい、行きます。」と返事し、会議に行った。それはなんの生産性のない会議で、こんなクソ会議のせいで人生で最も幸せな時間になるはずだった貴重な時間を奪われてしまった.....

 

とてつもなく後悔したグレッグさんは、「自分で優先順位をつけなければ、他人のいいなりになってしまう」ということを学んだのであった。

 

そんなグレッグさんが、「より少なく、しかしより良く」を追求した思考が凝縮された一冊になっております。

作品の概要

結論から申し上げますと、エッセンシャル思考とは「より多くの仕事をこなすやり方ではなく、トレードオフを直視し、何かをとるために何かを捨てる思考法」です。そのコアとなる3つの考え方は

  1. 見極める
  2. 捨てる
  3. しくみ化

このたった3ポイントを意識するだけです。

 

自分の内面に取り入れ、第2の本能と化したとき、あなたにとって「本質的」なことを理解し、自分らしく人生を送ることができるでしょう。ト

 

おいおいおい、なんか怪しいんちゃいますの。そんなメリットだらけでいいんですか。

 

大丈夫です。本当にメリットしかないのです。スクナクトモボクニハ

 

もう少しだけ詳しくエッセンシャル思考について解説します。

社会人は様々な人間関係から様々な仕事がふられたり、行きたくない飲み会や会議に嫌々いっていることは少なくないでしょう。学生ならバイトに部活、サークル、さらにはフットワーク軽く遊びまくるときに、あんまり気乗りしないときは少なくないと思います。

 

そうなんです。日常で降りかかる全てのことに注力することなんて不可能なんです。中には超人的な体力とフッ軽で全てをこなしてしまう人もいると思いますが、、

 

少なくとも僕にはそれはできません。超人的な人でも時間は有限ですので、どこかに限界ラインが存在すると思います。ボクノラインハヒクイデスヨ

 

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より少なく=本質的なことに集中しましょう

しかしより良く=そこに自分の愛情を存分に注ぎましょう

 

てな感じに要約できます。

 

「やらなくては」ではなく、「やると決める」。

「どれも大事」ではなく、「大事なものはめったにない」。

「全部できる」ではなく、「何でもできるが、全部はやらない」。

 

エッセンシャル思考は「やらなきゃ」からの脱却法とも言えるでしょう。

 

 

それでは3つの考え方に移りましょう。ですが、その中でも最も重要だと感じた

2.捨てる

これだけ重点的に解説したいと思います。

 

医学では、In-Outという考え方(?)があります。要するに、水分だと、飲んだ量=出ていった量ということになります。Inを増やしまくると、Outできる人ならいいのですが、限界地点があります。水中毒といって体の中のナトリウムを中心とした電解質がおかしくなってしまいます。また、体がむくんでしまうことも考えられます。そういった観点からもOutする重要性がわかると思います。

 

Inを減らしOutすることは日常生活においてはNoということと同じと考えます。

日常で降りかかるあらゆる仕事やイベントにNoと言わない限り無限に水を飲み続けることと同じく、いつかは体を壊してしまいます。

 

「Noと断ること」。ここに本質があると僕は思います。

 

なんでもかんでもNoということではありません。自分の方向性、やりたいビジョンに照らし合わせてそれが自分にとって本質的なものなのかをしっかり吟味する必要があるということです。Noと即答することは全くもってエッセンシャル思考ではないのです。

 

そのために必要なことは「完全に明確化」するということです。自分がその日のうちにやることを30分刻みでスケジューリングしておこうというのです。そうすれば自分がやるべきことが明確になります。よってNoと断る理由ができるのです。

 

大切なのはNoと上手に断るテクニックだと僕は考えました。その辺は考察で少しまとめたいと思います。

 

まとめると本書では、自分のやりたい本質的なことを明確にし、いらないものはNoと断ることが重要ですよ、と語られています。


考察・批評

やらなきゃやらなきゃ、仕事わかんない、とりあえず全部覚えなきゃー

と四方八方へ駆けまわっていた新人研修医の僕にはグサリと突き刺さる思考法でした。

 

病棟業務、当直業務、造影当番(造影検査のルート取る係を1日行う)、診療科の勉強、上級医とのつきあい、同期とのつきあい、、、

 

やらなきゃいけないこと多すぎッッ!!

 

と思ってたのですが、このエッセンシャル思考で自分の考え方、心持ちがかなり楽になったと思います。

 

でもそもそも僕はもともとエッセンシャル思考寄りの人間なのかなと思いました。やりたくないことには全然興味を示さず、「なんとかなるっしょ」と。自分のやりたいことに関しては自分なりの方法で目標を定めて懸命に取り組むことは医学生時代もやっていた気がします。

 

自分に足りないのは、捨てるものを明確にすること上手にNoと断るテクニックだと感じます。

 

僕も強欲な人間ですので、やりたいことはたくさんあります。しかし、全てやることは不可能だし、しんどいです。優先順位を明確に決めておく必要があります。

 

現在の優先順位としては、どれだけ仕事に追われようと、振り返る時間を30分以上取ること、医学の勉強は趣味として行うこと、読書する時間を夕食後に取ること、そしてそれをブログに少なくとも週一回はまとめること。

 

これだけに頑張って凝縮して明確にすることができました。医学知識は2か月で2倍になるので、今覚えた知識は2か月後には完全に埋もれているとの認識を持った方がよいと思います。今行っているのは臨床でPatient-based learningなので、日常臨床において疑問に思ったことを突き詰めるということだけは最優先にして、趣味としての医学勉強を充実させたいなと思ってます。

 

上手にNoと断るのは本当に大切なテクニックだと思います。おそらくこれに関する解決法を求めて心理学の本関連を読み漁りそうな気もします。

 

本書にもNoと断り方も触れられていたものの、あまり実用的だと感じませんでした。その中でも1つだけ使えそうでした。「予定を確認してまた折り返してもよろしいでしょうか。」

 

完全に明確化できていれば、予定を確認する必要もないと思われるかもしれません。しかし、完全に明確化された論理をそのまま話して、だからNoと断ります、というのはあまりに失礼なのかとも思ったりします。

 

一旦Noと言いたい気持ちを抑えて、

「ちょっと今予定がたてこんでいまして、少しだけ確認する時間を頂いてもよろしいでしょうか。」

「今進行中の学会発表のプレゼンテーションに集中している時期でして、大変申し訳ありませんが、お時間が取れないかと思います。」

 

まだまだたどたどしいですね(笑)

 

Noというのはその場において、「いやそれはないっしょ、空気読めよ。」

となるのを恐れて言うのをためらってしまいがちです。そこは言い方次第だと僕は思います。

 

それに、Noと断るのはその場において微妙な反応をされたとしてもその場の恥だけで

Yesと言ってしまうのは長く続く深い後悔の第一歩だと思います。

 

Yesと反射的に応えてしまえば、その後も「あいつならYesといってくれる」といった印象をもたれかねないからです。

 

Noと応え続ければ、「あいつはあんまりYesといってくれないからな。」と印象付けがされると思います。これをポジティブにとらえて、自分が本質的にやりたいこと以外のノイズが消されていると考えるのもありなのかなと思います。

 

にしてもやっぱり浮いた存在になっちゃうのではないかと心配に思う部分もあり、Noという技術についてはこれから勉強しようかなと思ってます。

 

 

最後に本書から頂いたモチベーション維持の秘訣を紹介します。

「前進している」という小さな成功を積み重ねることが最大のモチベーションになるし、人生で楽しい瞬間でもある。

まとめ

「より少なく、しかしより良く」

捨てることはNoと上手く断り、自分の目的に集中すること。

 

他の2つの見極める、しくみ化することにもエッセンシャル思考を実践する上で非常に参考になることが書かれていたので、興味がある方は是非読んでみてください。

 

ではまた!

 

【医学目線で書評】FACTFULNESS

こんにちは。stayfoolish@研修医です。

 

10日ぶりのupdateになります。

 

かくいう僕は、オリエンテーションが終わり昨日から糖尿病・内分泌内科での研修がスタートしました。

 

最初からいきなりmistakeを犯してしまいました。

 

「研修医の○○です。糖尿病・内分泌内科で1か月お世話になります。宜しくお願いいします。」

 

そう意気揚々とナースステーションで挨拶をしたものの、ナースさんたちから困惑(+苦笑)の表情。

 

「ここは中7病棟で、糖尿病・内分泌は西7病棟なんだよ。ごめんね。」

 

そしてもう一度挨拶を西7で行い、僕の研修が始まりましたとさ。(笑)

 

気を付けたいのは、しっかりコミュニケーションをとること。今回は間違えはしたものの、SBARを意識して口に出して発言すること、特に多職種に向けてのときは。

 

「謙虚に」というのも心掛けていきたいものです。ケンキョニstay foolish

 

 

ところーで、書評についてですが

3月下旬から4月上旬にかけて、行動経済学、医療行動経済学について学んでいました。ちょいと難しかったのですが、まとめようかなと思っていた矢先、

 

「FACTFULNESS」を貸してもらったので、さっそく読了してしまいました。

 

こりゃもう感無量、、、僕の考え方のバイブルになる1冊だと感じました。最後のあとがきで感極まってついには目頭が熱くなりました。トホホ

 

さっそく解説していきます。

著者について

 スウェーデン生まれで、医師のハンス・ロスリングさん。FACTFULNESSは妻と娘との共著です。

 

FACTFULNESSの副題は

-10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣-

 

医学、統計学、公衆衛生学を学んだハンスさんは、アフリカでの医療に従事した経験から、経済発展・農業・貧困と健康の関連性を意識するように。グローバルヘルス学を発展させ、WHO、UNICEFでアドバイザーを務めていました。ファクトをまとめ上げたギャップマインダー社を設立しています。

 

ハンスさんは、事実を基に世界を見る方法を世界中に広める活動(本、TEDトークなど)を精力的に行っていましたが、、、

 

その矢先、末期の膵臓癌と診断されました。予定されていた講演やテレビ出演、映画製作などをすべてキャンセルし、本の執筆に全精力を注ぎました。

 

しかし、執筆作業中にハンスさんは息を引き取ることとなりました。享年68歳。その後、2人を中心にハンスさんの魂の叫びをようやく一冊の本にまとめあげました。

 

FACTFULNESS

-10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣-

 

 

書評する前から言うのも何ですが、、

この本は是非買って読んでいただきたい。是非とも。世界の見方、そして自分との向き合い方に多大な影響を与えるはずです。

 

ではいきましょう!

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作品の概要

3択クイズから本書は始まります。世界の人口・教育・医療・環境に関する13の3択問題です。下のリンクから是非挑戦してみてください。

 

factquiz.chibicode.com

 

ハンスさんは世界各国の講演で3択問題を行い、正解率を統計しています。ハンスさん曰く「人間ってチンパンジー以下だ。」と。

 

3択問題は確率的には33%で正解します。しかし、地球温暖化の問題を除いて12/13で33%を大きく下回ったことが明らかになったのです。

 

特に、各方面の専門家、俗にいう有識者や高学歴者に関しては一般人口よりも正解率が下がるという傾向も明らかになりました。

 

おやおや、これはこれは、、知識がある人の方が世界を正しく見えていないとはどういうことなのだろうか?

 

ハンスさんは悩み悩んだ挙句、ある考えに至ります。

「知識のupdateがある人でも答えられないのは、人間の本能に原因があるのではないだろうか。」

 

その本能というのが「ドラマティックな本能」とハンスさんは言います。この本能は人間の人間たる所以でもありますが、ファクトを正しく向き合おうとしない一番の原因だと考えています。

 

このFACTFUNESSを読めば、10のドラマティックな本能を論理的に理解することができ、FACTFULNESSな世界の見方を実践することができるでしょう。

 

ハンスさんは大のサーカス好きです。どうしてあんなことができるのだろう、すげー、どうして、すげー、どうして。

 

謙虚さと好奇心が大切だとハンスさんは言います。サーカスを見る視点で「すごい!こんなことができるなんて!」と純粋な興味と驚きを抱きましょう。そういうものだとと決めつけるのではなく、事実を基に事象を見つめていくことの大切さと何より面白さが私の心を掴んではなしません。

 

ハンスさん、ありがとう。

 

10の本能のうち1つだけpickupします。正直pickupするのは、ハンスさんに忍びないのですが、そのうち特に本質的であると思ったものだけpickupです。

 

それは、「分断本能」です。

人間のドラマティックな本能は、対立する二つの事項を対決させることを好みます。アメリカの大統領選、正義か悪か、お金持ちか貧乏か、自国か他国か、資本主義か社会主義か、などなど

 

それぞれの対立を騒ぎ立ててどちらかに感情移入することはまさしくドラマティックです。このドラマティックな本能をメディアに掻き立てられていることが思い込みに繋がっているのではないかとハンスさんは考えます。

 

実際には分断なんてどこにもないのに。。分断本能の影響は世界に蔓延していて、どれもが大幅に歪んだデータの解釈につながってしまう。

 

分断本能を抑えるためにはどうしたらよいだろうか。ハンスさんは「大半の人がどこにいるか探すこと」と言います。

 

実際には分断なんてありません。中間の人がどこいるかを探しましょう。そのためのkeywordは「平均」と「正規分布」です。

 

統計学をかじったことがある人なら、下の正規分布について見たことがあると思います。

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私たちが本能で分断してしまっているのは、右側左側の有意差ありと判断される外れ値なのです。よって大半のひとは中間層を形成していることになります。

 

めちゃくちゃ刺激的です、この図は。シンプルかつ本質的。

 

その上、事象を比較する上では4つのレベルに段階を分けることをハンスさんはオススメしています。分断するのではなく、正規分布を意識して正しくクラス分けをすることが非常に重要になってきます。

 

さらに、自分がどこからの視点で考察しているかも大切です。正規分布の外れ値に属する人の根底にある考えはやはり中間層には受け入れがたいと言わざるを得ません。

 

本書では、具体例を交えて面白く解説されていますが、僕は正規分布を解説するに留めておきます。この正規分布こそが本質的だと思ったからです。


考察・批評

今回は敢えて、本の内容はほとんど書評に組み込んでいません。是非ともお手元で確かめてほしいからです。残りの9つの本能が世界の統計やハンスさんの実体験、特に失敗談から学ぶことができます。

 

僕は、医師として論文を中心に正しく批判的に吟味する能力が必要になってきます。

 

印象に残ったのは、数字も主観的なデータであるということ。

「昨晩で420万人の赤ちゃんが亡くなった。」

420万人は多いですか、少ないですか。

真っ先に自分の住む町の人口と比較した人は多いと思います。(これを行動経済学でアンカリングバイアスといいます。)

 

そこで生じた感情で思考終了するのではなく、その数字を正しく吟味する必要があります。

 

「その数字を比較する他のデータはないんですか?」と問いかけなければなりません。

時間的空間的な比較。例えば、他地域との比較やその数字の時間的推移を知ることは基本的ではありますが、意識して考えているような人はほとんどいないと思います。

 

データを数字で捉えることは大切ですが、そこには主観が必ず入ります。数字を正しく分析したうえで、数字の背景にある物語に着目することで初めて事実を基に世界を見ることができると僕は思います。

 

また、「現在」の捉え方も重要です。現在は止まっているような印象を受けますが、実際はめまぐるしく時間経過とともに変化していっています。2か月で医学知識は倍増する時代ですし。

 

今の事実が明日正しいかどうかはわからないという認識を持ち続けたいと思います。変化し続けるためには、常に知識をupdateして、正しく事実を認識することが必要になります。

 

 

いやー、本当に面白かった。stayfoolish的圧倒的超大作ですよ。

最後にYoutube大学やサラタメさんのFACTFULNESSの書評を貼っておきます。非常に面白い解説になっています。他の人と感想を共有できるのもすごく良いですね。

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まとめ

事実を正しく見れないのは、人間の「ドラマティックな本能」のせいです。正規分布を意識することで、本能を抑制することができます。分断するのではなく、クラス分けをしてみることで新たな発見があるのではないでしょうか。

 

from stayfoolish@研修医

 

 

好奇心はstay foolishというブログ名をつけた由来でもあります。そこに新たに「謙虚さ」を加えていきたいと思います。

 

ハンスさんと奥様、娘様、本と通じて出会えたことに感謝しています。

僕も、後輩医師として後に続けるように努力していきます。

 

それでは!