Dr.すてふの備忘録@岐阜

旅と、競馬と、時々医学。

【些末な日常診療】小児の体内で荒ぶる細胞性免疫

こんにちは。StayFoolish@研修医です。

今日は症例報告スタイル(型はブログなので適当)でやってきましょうか。

Case

10歳、男児

10日前からの間欠熱(37-39℃)、倦怠感、8日前からのリンパ節腫脹、4日前からの体幹から始まり四肢・顔面に拡がる多型紅斑を認め、紹介受診となりました。

 

パッと見元気そうなスポーツ少年でごはんも食べれていましたが、やはり入院時も39℃は持続でして。

 

身体所見では、両側眼球結膜充血あり、眼瞼浮腫?(びみょう)、軟口蓋の点状出血あり、白苔なし、後頚部リンパ節腫脹圧痛あり、鼠径リンパ節腫脹圧痛あり、肝臓脾臓触れない、といった感じでした。

 

皮疹は全身の多型紅斑で一部癒合傾向にありました。症例写真をupしたいのですが、やめておいた方がいい気がするのですみません。

 

Discussion

もうお気づきでしょうが、ピンとくるのがEBVによる伝染性単核球症らしいかなと。

実は、近医でアンピシリン3日間、クラリスロマイシン3日間既に入っていました。ありゃまあ、こりゃ皮疹はウイルス感染によるものかアンピシリン疹か他の薬疹かわからんぞー。

 

詳しく聞いてみると、当初の皮疹の様子をお母さんがスマホで見せてくれました。最初は発熱5日目に粟粒大の点状紅斑が体幹から始まったそうな。それが発熱8日目に一気により赤くなってきて、全身に拡がったと。

 

時期的には、IMによる皮疹が初期でそれにアンピシリン疹が後から加わった感じなんですかね。

 

LABはAST/ALT 90/60、LDH 450、CRP 0.5、WBC 3,500、異形リンパ球 0%でしょうか。

異形リンパ球はらしくないですが、そこまで検査後確率は下がらないと判断しました。

近医でも測定されていて1%あったそうな。

 

また、川崎病の可能性もあり、心エコーで冠動脈瘤がないことを確認することも大事ですね。ここまでの小児科研修で川崎病ルーチンワークのように想起できるようになりました。

 

入院して、EBV/CMVの血清学的検査、血球貪食症候群のスクリーニングをして、対症療法を行ってます。

 

実はIMをみるのは初めてで、非常に良い臨床経験をしてます。典型的な臨床像を知らないと患者さんに説明できないので、そこはハリソン先生に聞いてみました。

 

・発熱は2週間ほど続くことが多い。

・2-4週間は何かしらの症状がある。

・10%は半年以上倦怠感が持続することがある。

・コンタクトスポーツは4週間は避けようね。

 

といった内容ですね。けっこうしつこいなあと。

しかも、EBVはやっぱりしつこくて悪性腫瘍(悪性リンパ腫、上咽頭癌)の原因になったり、多発性硬化症になりやすかったり(!!初めて知った!!)

また、ミクロ病態的には最初はT cell免疫応答を惹起して、その後B cellに感染するそうな。ちょっと細かいことはあまり理解できなかったよー。けど免疫って面白いね。

 

アフリカ人でEBVによるBurkittリンパ腫が多いくだりも不思議ですね。

Question

最後に疑問を書きなぐって今日は終わりにします。

・そもそもアンピシリン疹ってなによ?

・アシクロビルは臨床研究では効果がないとハリソンにあったが、なんで?