Dr.すてふの備忘録@岐阜

旅と、競馬と、時々医学。

【映画短評】きっと、うまくいく

こんにちは、stayfoolish@研修医です。

 

今日は大学の友人のかいかい@研修医がブログを始めた報告をくれました!!

嬉しすぎる!!

継続が一番の課題ですので、かいかいと励ましながら出来たらいいなと陰ながら思っております。コツコツ続けていきましょい。最高のモチベーションになりました。

 

研修が始まる前に読みたい本がいっぱいあったのですが、まだまだ読めてない本が、、、

ちょっと計画性が足りなかったです。読むだけならできるけど、アウトプットとなると厳しいですね。けど、アウトプットをブログとして記録化してみて思うことは、本を端的に理解し、それを実践してこそ読書の醍醐味なのだと思うようになりました。

 

行動経済学、医療行動経済学については3月中にまとめます!と宣言してみたり

 

本日は、インド映画「きっと、うまくいく」の映画短評をします。

結論から言うと、同じインド映画で大好きな「スラムドック$ミリオネラ」を凌いでしまいました。登場人物のキャラクター、ストーリーともに最高でした!!

さっそく短評していきます。

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どんな映画?

2009年公開で、当時インド映画歴代興行収入1位を記録しています。

工科大学を舞台にした、教育問題をテーマにしたコメディヒューマンストーリーです。

どんなストーリー?

工学に好奇心旺盛で学ぶことが大好きなランチョー、動物を撮るカメラマンに憧れるファルハーン、苦学ゆえに神に祈ることをやめないラージューの3人が工科大学に入学し、ルームメイトに。

 

ランチョーは持ち前の自由奔放で権威に恐れることなく、競争、権力、富、名声の権化ともいえる学長に真っ向から対立していき、その姿に他の2人も共感し、巻き込まれていく。結局、型にとらわれない勉強を続けたランチョーが首席で卒業することとなった。

 

そして10年後、思い出の地で居合わせたファルハーンとラージューは、卒業後消息不明のランチョーを捜索する。果たしてランチョーは、大学時代から10年を経て何をしているのか、

 

そこは実際あなたの目で確かめてほしい(笑)

感想をつらつらと

メッセージ性が多く盛り込まれたコメディであるが、一番は「教育」についてだろう。

 

主人公のランチョーは学長に向かって

「僕が知りたいのは点数の取り方ではなく、学問なんだ。競争としての学問はつまらない。」

とせまります。いやまあこの迫り方がほんとに痛快で!

 

この作品で描かれているのは、競争が目的になってしまっている学問のあり方についてです。この点を考察します。

 

確かに学問を理解できているかどうかを客観的に見るためには、点数化は有効だと考えます。それは特に、入学試験や資格試験においては公平性という点においても合理的であると考えます。

 

この作品で描かれているように、点数を取るためだけに勉強することは果たして悪いことでしょうか。

 

僕は、必ずしも真っ向から点数を取るための勉強を否定することはしません。確かに点数を取りたいだけが目的ならそれは理解できません。何がモチベーションなのかいまいちわかりませんよね。目標を実現するために点数が必要となったときには、勉強をして点数を取りに行くことは、そこに至る積み重ねの努力を含めて、僕は必ずプロセス自体に価値があると思っています。しかし、あくまで点数は通過地点であって、それ自体に執着する必要は全くないと考えています。

 

今、考察したのは基本的には受験勉強ですかね。僕は医学部に入るまで2浪していて、どうしても苦手の国語が克服できずにどうしようもなく、点数を取りに行くためだけの国語の勉強を余儀なくされました。あれはほんとに苦痛でしたねー。

 

けれども医学部に入って、系統講義(各診療科について)を学び始めたときから全体を俯瞰して体系的に覚えていくことの楽しさを知りました。病棟実習に出ると知識を働かせて「使える知識、話せる知識、説明できる知識」の勉強にはまりました。医学、とくに臨床推論が好きになっていました。

 

自然と好きになっていくことができたので、4年生からの勉強で点数を取りに行く意識なく楽しく勉強することができたのかなと振り返って思います。僕は過去問や一問一答を詰め込むことを頑なに嫌って、自分の気になったことや目の前のProblemを解決していくことを中心に取り組むことに夢中になってました。詰め込み教育に小さく反抗している自分がいました。

 

卒業してみて思うことは、医学に関しては幅広い視点を持つように意識してきたことはよかったと思っている反面、医学しか学んでこなかったことを本当に後悔しています。一般的な教養、ニュースを読み解く力や本当に全力で遊ぶ(チャレンジしていく)ことはできていなかったと反省しています。

 

6年生で多く実習をする機会があったので、その際に医学以外の視点を持つことやコミュニティーの重要性を学べて本当に良かったです。ラストチャンスでした。

 

よって勉強は幅広く自分の気のすむまで気長にやることが大切かなと思ってます。

あくまで点数はpassしてしまえば何も役に立ちませんし。

 

この映画でもう一点気になったのは、インド人の文化と宗教についてです。

 

またですか、、と、2月にインド行ってきたので、どうしてもそこで学んだことをベースとして映画を見てしまいます。

 

この映画では、命の誕生のお産のシーン、結婚式、葬式などと生と死がダイナミックに描かれます。それを起点として物語が急変していく様は、生と死に関わるイベントがいかにインド人にとって密接なのかを表していると感じました。

 

また、おそらくヒンドゥー教がベースの作品であるにも関わらず、カースト制度を否定している(カースト制度ヒンドゥー教においては暗黙の了解とされている)ことやヒンドゥー教においてあまり好ましく思われていない飲酒(第二宗派のイスラム教では禁忌とされている)シーンが多く描かれていたりと、宗教やしきたりのみにとらわれない生き方からの脱却を感じさせるシーンが多かったのも印象的でした。

 

一方で、インドは資本主義に一直線で向かおうとしています。

残念ながら、実際的に格差がどんどん生まれていくのは必至だと思います。インドではお金がないとヒンドゥー語しか教育されず、高校大学は基本的に英語で行われるので、同じ土台にも立つことができません。

 

しかしその中でも「All is well」「きっと、うまくいく」と事態をポジティブにとらえ、自分のやりたいことの中に幸福を見つけていくという本質的なものをこの作品から見出すことができました。

 

他と競争して比較される個ではなく、自分のやりたいことをして生きる主体性としての個の価値を再認識しました。

 

最後に一番好きなシーンを発表します!!

カメラマンのファルハーンが子供をエンジニアにさせたい親を説得させて

「ラップトップを売ってプロのカメラを買わないとね」

のシーンでした。あのシーンは反則です。涙なしには見れません。。。

 

以上2点、教育とインド文化背景を考察してみました。

はたまた!!