Dr.すてふの備忘録@岐阜

旅と、競馬と、時々医学。

【些末な日常診療】電話ICの難しさ

こんにちは。Stayfoolish@研修医です。

 

与論島での地域研修day1です。

やれることが盛りだくさんで充実しています!それにしても4月から研修しているR2がデキレジすぎてヤバイです!やっぱ凄い人はナイスガイで謙虚なんですね。彼から多くを吸収したいと思います!

 

外来、入院、救急、訪問診療とマルチに学んでいきます。

入院では初めて電話ICをする機会がありました。それにDNARや気管切開、胃瘻造設に関してのICであり、かなりたどたどしかったのを忘れません。本当にICって難しいです。

 

DNARのICに関しても初めての経験で、自分の未熟さを知りました。DNAR=終末期と考えがちですが、そうではなく、前もって考えておくものということを実感しました。その中で蘇生の無益性を根拠を持って説明できるようになるべきだと強く感じました。

 

学びの深いday1でした。

ではまた!

 

 

【些末な日常診療】地域研修が開始します!与論島!

こんにちは。Stayfoolish@研修医です。

 

4月の研修は産婦人科でした。非常に多忙でしたが、非常に充実した研修でした。研修医としてはローテ科のプロフェッショナリズムを学ぶよう、これまでやってきましたが、まさに産婦人科ローテではプロフェッショナリズムを垣間見ることができました!

 

一番印象に残ったのは、目の前で辺縁前置癒着胎盤の3000mlの血の海を目の当たりにしたことでした。産婦人科出血プロトコルを予習していったものの、止血することこそが最大目標であり、それは熟練した産婦人科医でしかなしえないものだと学びました。

 

僕は総合診療医として女性のプライマリケア診療をすることになりますが、お産に関しては正しくリスク評価を行い、適切な場所で診療することが大切だと身をもって痛感しました。大出血されても僕にできるのは最低限の止血と輸血くらいですから。

 

意外と女性のプライマリケアに触れる機会がなかったので、おいおい勉強していこうと思います。

 

今回は明日から開始する与論島での2か月の地域研修の抱負をまとめたく久しぶりに更新しました!

 

与論島は行政区では鹿児島県で、沖縄本島の150kmほど北に浮かぶ人口5000人弱の小さな島です。高齢化率は31.3%(2015年)で、徐々に人口減少が進行しています。思ったより高齢化はしていない印象です。

 

直行便はなく、鹿児島空港もしくは那覇空港経由で1日1便運航されています。僕は那覇経由で行きました!昼前に那覇に降り立ったのですが、気温26度で小雨でめーっちゃジメジメしてました。もうそろそろ梅雨入りのようです。

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空港はめっちゃちっちゃいのよ。長さはバス1台くらい。

 

早速、研修先の与論徳洲会病院でCOVID19PCR検査を。結果出るまでは隔離です・・

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宿舎から見える病院。奥の黄色い建物です。

 

地域医療に従事する自分にとって、非常に心躍っています。タノシミ!

 

プライマリケアの理念として、①Accessibility、②Comprehensiveness、③Coordination、④Cotinuity、⑤Accountability、の概念が提唱されています。

単語だと具体的ではないですが、2か月を通して継続性をもって、多疾患併存・複雑性のある患者さんを包括的に見る視点を身に着けたいと思います。

 

と、まあ日本語訳しただけの抱負になってしまいましたが・・・

 

また、Illness trajectoryを意識したいと思います。以前「慢性臓器障害の診かた、考え方」(佐藤健太先生)を読んで、臓器障害を分類し、それぞれをステージングして包括的に見ていくといった概念を学び、目から鱗が出るほど感動した記憶があります。どうしても高次医療機関において、医療資源に恵まれており患者さんの急性増悪期のみを重点的に診るので、なかなかIllness trajectoryを意識する機会はありませんでした。特に僕の研修病院においては総合診療科はないため、今回の機会は非常に楽しみです。

 

自助、扶助、共助、公助の視点も持ち、地域全体を診ていければと思います。キーワードは、Multimobidity、Polypharmacy、Complexityです。

 

つい最近、「人新生の資本論」を読んだのですが、与論の街並みはどこか「コモン」を思い出させるような気がします。島の歴史やインフラの実態、今後の島の行く末を考察するのも面白そうです。目指せ地域医療最先端!(西伊豆

 

地域研修終わったら、再度西伊豆に行きたいと思っている次第です。

 

地域研修の足跡を今後綴っていきます。

ではまた!

 

【COVID-19】ワクチン打ちましょう!

こんにちは。Stay Foolish@研修医です。

 

突然ですが、ワクチン打ちましょう!!

SARS-CoV2に対するワクチンの副作用に関する報告です。

www.cdc.gov

 

まとめると

12月14-23日の10日間に接種した189万3360人中
・副反応報告4393例(0.2%)
・重症アレルギー反応175例、うちアナフィラキシー21例(11.1例/100万)
・71.4%が15分以内、14.3% が15ー30分以内(30分以内に85.7%)に症状出現
・死亡報告なし
アナフィラキシー21例中17例(81%)にアレルギー、アレルギー反応既往歴あり

 

先行研究では、①症状発現を95%減少させる、②重症化を減らす

とわかっています。

 

行動経済学でいう現状維持バイアスだと思います。

変化を恐れるあまり、デメリットを重要視しすぎてしまうんです。もはや重要視というか客観的に評価できていないんだと思います。defaultに固執するのも現状維持バイアスの一種だと思います。人間には損失回避する習性が高すぎるがゆえに、現状維持を選択してしまうのは本能的な部分もあるのではないでしょうか。

 

よって、うまく医療従事者としてnudgeしていく必要があります。nudgeとは横肘でつついて、自発的に望ましい結果になるように、促していくことを指します。

 

僕は、人類の稀代の大発見である「ワクチン」もちろん打ちます。

 

醜いかな、いや必然かな、世界各国でワクチンの奪い合いのようになっています。これも一つの大発見があって、その後世界を動かすのはその大発見が「お金」に結びつくかどうかで、大発見の価値が変わってくるのは紛れもない事実です。普遍的な事実です。「医学の歴史」でも何回でも繰り返されてきました。(もちろん誰かの役に立ちたい一心で行われた研究があって副次的にお金問題が発生するのです)

 

話は脱線しましたが、ワクチン打ちましょう!

ではまた!

【些末な日常診療】小児の体内で荒ぶる細胞性免疫

こんにちは。StayFoolish@研修医です。

今日は症例報告スタイル(型はブログなので適当)でやってきましょうか。

Case

10歳、男児

10日前からの間欠熱(37-39℃)、倦怠感、8日前からのリンパ節腫脹、4日前からの体幹から始まり四肢・顔面に拡がる多型紅斑を認め、紹介受診となりました。

 

パッと見元気そうなスポーツ少年でごはんも食べれていましたが、やはり入院時も39℃は持続でして。

 

身体所見では、両側眼球結膜充血あり、眼瞼浮腫?(びみょう)、軟口蓋の点状出血あり、白苔なし、後頚部リンパ節腫脹圧痛あり、鼠径リンパ節腫脹圧痛あり、肝臓脾臓触れない、といった感じでした。

 

皮疹は全身の多型紅斑で一部癒合傾向にありました。症例写真をupしたいのですが、やめておいた方がいい気がするのですみません。

 

Discussion

もうお気づきでしょうが、ピンとくるのがEBVによる伝染性単核球症らしいかなと。

実は、近医でアンピシリン3日間、クラリスロマイシン3日間既に入っていました。ありゃまあ、こりゃ皮疹はウイルス感染によるものかアンピシリン疹か他の薬疹かわからんぞー。

 

詳しく聞いてみると、当初の皮疹の様子をお母さんがスマホで見せてくれました。最初は発熱5日目に粟粒大の点状紅斑が体幹から始まったそうな。それが発熱8日目に一気により赤くなってきて、全身に拡がったと。

 

時期的には、IMによる皮疹が初期でそれにアンピシリン疹が後から加わった感じなんですかね。

 

LABはAST/ALT 90/60、LDH 450、CRP 0.5、WBC 3,500、異形リンパ球 0%でしょうか。

異形リンパ球はらしくないですが、そこまで検査後確率は下がらないと判断しました。

近医でも測定されていて1%あったそうな。

 

また、川崎病の可能性もあり、心エコーで冠動脈瘤がないことを確認することも大事ですね。ここまでの小児科研修で川崎病ルーチンワークのように想起できるようになりました。

 

入院して、EBV/CMVの血清学的検査、血球貪食症候群のスクリーニングをして、対症療法を行ってます。

 

実はIMをみるのは初めてで、非常に良い臨床経験をしてます。典型的な臨床像を知らないと患者さんに説明できないので、そこはハリソン先生に聞いてみました。

 

・発熱は2週間ほど続くことが多い。

・2-4週間は何かしらの症状がある。

・10%は半年以上倦怠感が持続することがある。

・コンタクトスポーツは4週間は避けようね。

 

といった内容ですね。けっこうしつこいなあと。

しかも、EBVはやっぱりしつこくて悪性腫瘍(悪性リンパ腫、上咽頭癌)の原因になったり、多発性硬化症になりやすかったり(!!初めて知った!!)

また、ミクロ病態的には最初はT cell免疫応答を惹起して、その後B cellに感染するそうな。ちょっと細かいことはあまり理解できなかったよー。けど免疫って面白いね。

 

アフリカ人でEBVによるBurkittリンパ腫が多いくだりも不思議ですね。

Question

最後に疑問を書きなぐって今日は終わりにします。

・そもそもアンピシリン疹ってなによ?

・アシクロビルは臨床研究では効果がないとハリソンにあったが、なんで?

 

 

 

【医学目線で書評】まんが 医学の歴史

こんにちは。stayfoolish@研修医です。

地元の丸善にふと寄ってみて1冊ざらっと立ち読みするのが1ヵ月に1回ほどあるのですが、

そこでふと見つけた本がこちら!

 

後日、楽天市場で購入しました!!めちゃくちゃ面白かった。

著者について

医師で漫画家の茨木保先生が書かれたマンガです。いばらきレディースクリニックの院長をしながら、「Drコト-診療所」「がんばれ!猫山先生」など多く監修されています。

考察・批評

研修医ながら医学の歴史に関してはほぼ無知で、多く勉強になりました。

普遍的なテーマと感じたのは以下の2点です。

①no pain, no gain

②記録、文章化、論文化の積み重ね

 

現在、医療が行われているのは今までの医学研究の積み重ねであり、それには犠牲がつきものであったし、以降も変わらないだろう。「我々は巨人の肩の上に立っている」と言われるが、それを認識したうえで医療を行っていこうと思う。

 

また、COVID-19に対するmRNAワクチン接種が欧米諸国を中心に開始されています。様々な論文をまとめたサイトからは、2回ワクチン接種で95%の人が有症状COVID-19を防げ、重症化も防げることが報告されています。重篤な副作用はアナフィラキシーですが、他のワクチンと比べやや頻度は高いものの10/1000万人の頻度です。

 

考察としては、16歳未満、妊婦、高齢者、免疫不全者を対象としていないこと、他人への感染性は不明、長期間の再感染は不明であることがあります。

 

こういったデータも、被験者がいて、論文を積み重ねた努力があってのことです。巨人がさらにupdateされているんですね。

 

医学教育において、医学の歴史はほぼほぼ学びませんが、すっごく普遍的で重要で印象に残るエピソードが多く、別に国家試験の範囲として必修にしてもいいんじゃないかと思います。少なくとも医学生のうちに読んでおくべき一冊だと思います。

まとめ

これからもちょいちょい学びを蓄積して、ゆくゆくは論文化を地道にやっていこうっと!

【些末な日常診療】常にBackup Planを持っておく

こんにちは。StayFoolish@研修医です。

 

小児科心優しいNICU部長に言われ、心に残った言葉です。

Backup Planは常に考えて日常診療やっていきたいと思います。

 

本日の学び

・新生児の肺保護戦略の極み HFO mode (high fregency osicillation)

・新生児の気胸 極小トロッカー

・AMIでPCI後のVFにたまたま出くわす ⇒ 院内CPR

・いちご状血管腫に対するヘマンジオマシロップ(β遮断薬)入院

ASD(autism spectrum disorder)は摂食障害来しうる。3歳なのに泣き叫んでもお母さんの名前を呼ばないのはおかしい。

 

それでは!

 

【映画鑑賞】えんとつ町のプペル

こんにちは。StayFoolish@研修医です。

 

昨日、「えんとつ町のプペル」を観に行ってきました!

別に泣きに行ったわけではないのですが、2回泣いてしまいました。マスクヌレヌレヨ

 

物語は単純明快ですが、強いメッセージ性があり、考えさせられることの多い作品です。めちゃくちゃオススメです。

 

作者の西野さんはお笑い芸人、絵本作家として「ディズニーを超える」ことを目標としているそうです。お笑い芸人から第一線を退いた際には、多くの批判的な声、意見がたくさんあったそうです。しかし、それが少しずつ現実味を帯びてくるかもしれません。えんとつ町の煙の上の景色を見させられているのかもしれません。

 

感想ですが、、、

思想の自由、人的資本について考えさせられました。

 

本作品の世界観は、外界との接触を一切禁じている、社会主義国のような「えんとつ町」が舞台となっています。国家として機能させるためにある一つの共通認識を持たせるというやり方です。かつて歴史においても、宗教や憲法で国家を統一しようとしたのも大きくはここに当てはまると思います。武力による制圧では、なかなか覇権は長続きしなかったですよね、どの世界史においても。

 

そんな世界でルビッチは、その世界観を真っ向から覆す思想を抱きます。それに周囲は猛烈に批判します。必要以上に。過剰に。それは、ルビッチの思想を抱きつつも、そんなのかなうわけがないと世間に圧力をかけられたという経緯があってのことだった。

 

こういうのはよくありますよね。非常に共感できました。自らの考えや思想をしっかり抱き、文章化していく作業は本当に重要と感じました。

 

また人的資本は、それをみんなで共有していく上でかけがえのない財産になると再認識しました。人的資本は幸せ度に大きく関係してきますしね。

 

何にせよ、ただのアニメ、絵本にとどまらない、奥深いものを感じさせてくれる映画でした。

 

ププペップ~プペル♪ このメロディが離れなくて困ってます。

 

それでは!