Dr.すてふの備忘録@岐阜

旅と、競馬と、時々医学。

【映画鑑賞】えんとつ町のプペル

こんにちは。StayFoolish@研修医です。

 

昨日、「えんとつ町のプペル」を観に行ってきました!

別に泣きに行ったわけではないのですが、2回泣いてしまいました。マスクヌレヌレヨ

 

物語は単純明快ですが、強いメッセージ性があり、考えさせられることの多い作品です。めちゃくちゃオススメです。

 

作者の西野さんはお笑い芸人、絵本作家として「ディズニーを超える」ことを目標としているそうです。お笑い芸人から第一線を退いた際には、多くの批判的な声、意見がたくさんあったそうです。しかし、それが少しずつ現実味を帯びてくるかもしれません。えんとつ町の煙の上の景色を見させられているのかもしれません。

 

感想ですが、、、

思想の自由、人的資本について考えさせられました。

 

本作品の世界観は、外界との接触を一切禁じている、社会主義国のような「えんとつ町」が舞台となっています。国家として機能させるためにある一つの共通認識を持たせるというやり方です。かつて歴史においても、宗教や憲法で国家を統一しようとしたのも大きくはここに当てはまると思います。武力による制圧では、なかなか覇権は長続きしなかったですよね、どの世界史においても。

 

そんな世界でルビッチは、その世界観を真っ向から覆す思想を抱きます。それに周囲は猛烈に批判します。必要以上に。過剰に。それは、ルビッチの思想を抱きつつも、そんなのかなうわけがないと世間に圧力をかけられたという経緯があってのことだった。

 

こういうのはよくありますよね。非常に共感できました。自らの考えや思想をしっかり抱き、文章化していく作業は本当に重要と感じました。

 

また人的資本は、それをみんなで共有していく上でかけがえのない財産になると再認識しました。人的資本は幸せ度に大きく関係してきますしね。

 

何にせよ、ただのアニメ、絵本にとどまらない、奥深いものを感じさせてくれる映画でした。

 

ププペップ~プペル♪ このメロディが離れなくて困ってます。

 

それでは!

【些末な日常】充実の小児科研修すでに2週間経過

こんにちは。StayFoolish@研修医です。

 

めっちゃ楽しいですね、小児科研修!

まさしくGeneralistという感じがして非常にfeelingが合ってよきよき

 

とは言ってもこのご時世は小児科の患者さんは大激減でERや外来はあんまり、、

というか、病棟患者は3人ほどしかいないという現状でございやす。

 

今週から本格的にNICUに行くようになりました。NICUは以前と変わらず賑わっております。自分は小児ファーストタッチができればそれでいいやーなんて思ってましたが、NICUが面白いおもしろい!ここで学ばないのは一生後悔すると思い、学ばせてもらってます。

 

研修終了時までにNICUのアセスメント、PALSをひととおりできるようになると目標立てております。

今日やったこと・学んだこと

ヒルドイドとプロペトの使い分け

ASDの女児は意外と外見じゃわかりにくい

・超出生体重児(1000g未満)の件数で加算が大きく異なる

・サーファクタントは決して振ってはならない(笑)

・サーファクタントは体位を変えて気管内投与していく

・サーファクタント著効すると嬉しい

・胎便吸引症候群の新生児搬送

・新生児血管確保(失敗)採血のみちょろり

・大泉門からの頭蓋内エコー

・4日前に2cmのイヤリング誤飲した乳児の便から無事見つかる!報告もらう

 

まとまってないけどその他いろいろありました。

 

それでは!

【些末な日常】もっとハリソンを読もう!

こんにちは。Stay Foolish@研修医です。

 

ちょっと反省していることがありまして、、

せっかくハリソン内科学(原著20th、英語版の方が4万円も安かったから購入しました)を1年前に購入したのに、ほとんど読んでいなかったこと!タカラノモチグサレ

 

やはり改めて読んでみると、情報量がすごいのと、そこらのガイドラインなんかよりすっごくわかりやすいですね。ただ情報量が多いのと、字が小さく英語ということが難点にもなります。これは慣れていくしか他ないです。習慣です。

 

今後Clinical Questionは、ハリソンにもしっかり聞いてみようと思います。up to dateはactionに役立つけどやっぱり病態生理的なことは書いてないですからねー。

 

小児科ローテをはじめて2週経過しようとしてます。やっぱり調べものって楽しいです。あっという間に時間が過ぎてしまいます。

 

小児科らしくないのですが、肥大型心筋症、僧帽弁閉鎖不全症の既往のある17歳男児の、MSSAによる感染性心内膜炎に合併した脳塞栓症に対して、抗菌薬は中枢移行性を考慮すべきか?

といったものを現在調べている最中です。なかなか決定的な文献が見つからない中、ハリソンは希望の光を与えてくれそうです。近日中に自分なりにまとめてみます。

 

それでは!

【些末なER診療】Painless Myocardial Infarction

こんにちは。Stayfoolish@研修医です。

さっそく本日の学びです。世にも恐ろしい無痛性心筋梗塞を経験しました。

  • 冷汗のエピソードには、こちらも冷や汗をかくべし。TROPの重要性!

 

症例です。

58歳、男性。2日前からの嘔吐、下痢、食欲不振があった。来院日、近医受診したところ、医院の玄関で悪心が増悪し、冷汗があったため、救急搬送された。BP 150/70, HR 75, RR 20, SpO2 98ra、T 37.9。受け答えはしっかりしており、けろっとしている。

 

といった感じ。後から冷汗の情報を付け加えたものの、救急隊による「冷汗があったそう」という情報のみ。発熱があったため、PPE対応。

 

~わいの頭の中~

嘔吐、下痢、発熱。腹痛はないけど、消化器疾患、非消化器疾患といった感じでやっていこう。ウイルス性腸炎は限りなく怪しい。神経学的所見は大丈夫で、中枢神経って感じではなさそうだな。いや待てよ、の割には腹部所見があまりに乏しい、どこにも圧痛がないんだよね。うーん、困った困った。けど、General Vital問題ないから腹部CTコースでいっかな。

~Vgasが届いて腹部CTへ~

まじで正常、何もないの。本当に嘔吐、下痢あったんかいな?いやーまあ大丈夫っしょ。腹部CTはCriticalなのなさそうだなー。まあそもそも疼痛の局在ないし、何を絞って撮影したのかもわかんないんだけどねー。小腸の腸管浮腫あるからウイルス性腸炎でいっかな。帰る前に心電図だけとっとくかー。

 

からのがっつりSTEMI。下壁です。Mirrior imageも出てます。エコーでも動いてません。トロポニン>50,000です。オソロシヤー

すぐコンサルトして緊急PCIとなりました。

 

もう二度とこんな経験したくなく、とりあえず寝る前に無痛性心筋梗塞について調べておきます。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

Full textは入手できずです。症例対象研究になります。仲田和正先生のようにまとめてみます。

最重要ポイントは次の4点です。

  1. STEMIの13%は無痛性。
  2. 高齢、女性、中国人、糖尿病に多い。
  3. 無痛性例は、失神、心窩部痛の主訴が多い。
  4. 28日死亡率は無痛性例の方が高い。

無痛性の方が死亡率高いのは、見逃されるからだと思いますね。気になったのは梗塞部位によって疼痛の出方に違いがあるのか、だけど全文読めずで残念。

 

今回の症例では、高血圧症、脂質異常症、喫煙歴とリスク高めでした。ECGして本当に良かった。怖いから高リスクではやっぱりRoutine ECGでもよいかもしれん。優先順位を考えて。

 

けど忘れ得ぬ1例になりました。今後に生かそう。

それでは。

 

 

【医学目線で書評】仮病の見抜きかた

こんにちは。stayfoolish@研修医です。

明けましておめでとうございます!麻酔科ローテで1/1,2.3は待機になっており、独りで新年を迎えております。27歳にして初めての独り年越しだったのかな。 

 

2021年は「時間の使い方」を意識していきたいなと思ってます。やりたいことはたくさんあるものの整理と優先順位が曖昧で、未実行に終わってしまうこと多くないですか?僕は去年そんな1年でしたワラワラ。

 

あと整理しなきゃなのは間違いなく書籍類ですねー。机の上は綺麗に保つことを意識しているのですが、どうしてももう本は限界っすキタナクテスミマセン。本棚は全然収納機能がないので元々買っておらず、100均のお助け本棚で頑張って積み上げていったものの、、

 

医学書は多いのですが、電子書籍で買えるものは移行していこうと思います。あとこの本棚も正月中にすぐ整理しようかな。先日楽天kobo電子書籍リーダーを購入しました。医学書以外はこっちで買っていこっと!

 

今日は國松淳和先生が執筆された一風変わった医学ノベル「仮病の見抜きかた」の考察をします。非常に面白く、こんな経験あったけど、考えずにスルーしていたなと思うことばかりで今後の診療の幅を広げてくれるきっかけとなる1冊と確信してます。

 

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著者について

南多摩病院の総合内科・膠原病内科の國松淳和先生。診断力はもちろん、観察力、思考力で非常に参考にさせて頂いてます。お会いしたことはもちろんありません(笑)。他にも「ブラックジャックの解釈学」、「不明熱・不明炎症レジデントマニュアル」、「Kunimatsu’s lists」等、多く執筆されています。

作品の概要

10人の患者さんを10症例としてではなく、10エピソードとして患者側、医療従事者側(特にレジデント)の心理の揺れ動きを書き下ろした医学書ノベルになってます。

考察・批評

研修医1年終わろうとしている中で今まで臨床に優れている医師は「多くのゲシュタルトを構築している医師」と認識していたが、本書を読んでそれだけではないことに気付かされました。何よりありありと書かれたエピソードのリアリティが凄まじく、今後印象に残った出来事はノベル調に書いていこうと。

 

医師には医師の仕事があり、死につながる病気、後遺症になるかもしれない病気を早期に見抜き、診断し、治療につなげるという職責がある。その一方で、それらを全て尽くしても患者の思いや願いとはかけ離れてしまうことがある。

2ポイント今後実際に活かせると思ったこと、①診断できない不快感をそのままにしないこと②言動より行動に着目すること

日常診療は診察⇒検査⇒診断⇒治療の流れが一般的です。検査診断をすっ飛ばして治療することもありますが、結局は治療にたどりつくのがほとんどだと思います。逆に治療法がなかったり、正しく診断できないために治療はできない症例に無意識のうちにイライラを感じてしまっているのは紛れもない事実です。やっぱり臨床をやる身としては目に見える改善がモチベーションになりますもんね。そこで患者さんが何に困っているか、どんな認識でいるのかを確認することが大切かなと思いました。言動より行動に着目するというのは非常にしっくりきました。子どもは言葉をうまく操れないので、行動に着目する他ありませんよね。成人の場合ももちろん同じですが、「嘘」をつくことができます。これは厄介ですよね。でも、行動に関しては嘘はつけませんよね。観察力が大切です。高齢者の場合は、言葉を話せない場合だったり、身体症状自体でにくい場合だってあります。

 

僕は研修医ですのでまだ「自分の患者さん」というのがありません。せいぜい関わるのは救急外来受診時だったり、入院期間中というほんの一部分にすぎません。患者さんにとっても医療機関受診は一部分にすぎないですが、その背景には様々な要素を含んでいます。そこに思いを馳せることは日常診療において非常に大切なことなのではないかと思わせる本でした。

まとめ

だらだら書いてしまいました。國松先生の世界観は面白く、他の本も読んでみたいと思いました。

ではまた!

 

【些末な日常診療】Edwardsiella tarda bacteremia

こんにちは。stay foolish@研修医です。

 

もうそろそろ2020年も終わってしまいます。コロナコロナの1年でしたが、本当にもう変動の1年だったように感じます。

 

外科系レジデント研修も終わりを告げようとしています。秒単位のaccessment⇒managementが必要とされる業界と感じました。

内科的視点での診療をする余裕はありませんでしたが、今から思えば最初で最後の貴重な経験になったかもしれません。気管挿管に関しては、difficult airwayも経験できましたし、気道管理に自信を持つことができたかな。けど、輪状甲状間膜穿刺はさすがに経験できんかったなア。

 

来月からは一変して小児科です。総合診療には、必須の経験になるのでこれまた準備して楽しんでやってこうと。

 

今回の粗末な日常診療ですが、たまたま見かけたEdwardsiella tarda菌血症についてです。

杖歩行週3回デイサービス利用中の91歳男性、肩関節痛を主訴に来院し、肩関節液貯留と炎症反応上昇を認めたため、入院治療となりました。関節穿刺、関節液培養、血液培養採取後、piperacillin/tazobactamが開始され、第1病日に血培2/2でGNRが検出されました。第3病日に、Edwardsiella tardaと判明、、

 

といった感じで、聞いたこともない新生物で、気になったので調べてみました。

google先生青本(第4版!)uptodateはなかなか教えてくれませんでした(泣)。外科レジデントでは一瞬たりともお世話にならなかったPubmedさんに久しぶりに聞いてみました。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6759260/pdf/18-0518.pdf

 

Edwardsiella tarda Bacteremia, Okayama, Japan, 2005-2016

Shinya Kamiyama et al, Emer ID, Oct 2019

 

倉敷中央病院におけるretrospective studyです。倉敷中央病院は感染症科/総合診療科があるようですね。こういった論文が出るわけです。

 

・182,668セット中の40セット(26患者)からE.tardaが検出された。

・E.tardaの臨床的特徴と30日死亡率を調査した。

 

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・年齢中央値は75歳。

・年齢65歳以上はE.tardaのリスク因子になる?(OR2.7 95%CI 1.11-6.55)

・30日死亡率は12%。

・肝胆道系感染症を起こしやすい。

 

Discussion)

・もともと腸管感染症を起こしやすく、Salmoellaに臨床的特徴が似ている。

・self-limitedで下痢の原因になりやすい。

・抗菌薬感受性は良く、βラクタマーゼを持たないことも。アンピシリンでいける。

 

Limitationはサンプルサイズや単独施設研究が挙げられています。

わい的には

臨床的にはそんなに悪い印象はなく、narrowな抗菌薬で効きそう。だけどやっぱり血管親和性は良いのかな。関節液から検出されるくらいだから。このおじいちゃんもしかしたら刺身とかよく食べててE.tardaをcolonizeさせてたかもしれん。

 

サルモネラは様々な臨床型、E.tardaは魚。臨床的特徴は似ている?親戚的なやつらなんですね。

 

ではまた!

【些末な日常】ゲーム理論って面白そう。

こんにちは。stayfoolish@研修医です。

 10月から3か月、麻酔/救急科での研修が始まっております。主にというかほとんど、麻酔科ではありますが、

 

僕はもっぱら内科志望ですが、ここまでの研修は外科レジデントのようなローテとなってますわ。

4月5月 内科

6月  外科

7月  消化器内科(消化器検査科ともいわれるほどほぼ手技至上科)

8月  心臓血管外科

9月  整形外科

10月-12月 麻酔科 ←いまここ

 

ERでの身のおきどころもようやく理解しはじめ、少しずつ手が動くようになってきました。と、同時に、基本事項を質問しづらいような雰囲気が出てきたのも感じてます。

 

とはいえ、初期研修中はあくまでも初期研修医なので疑問に思ったことは恥を恐れず、どんどん聞いていこうとは思ってます。ちょっとそこらへんのバランス感覚むずかしーですねぇ。

 

最近、BookCafeでまったりすることにはまってます。休日に早起きして回診してサイクリングしてBookCafeに行くのを午前中のルーティンにしていきたいですね。めちゃくちゃ充実感あります。

 

16歳からのはじめてのゲーム理論―――“世の中の意思決定”を解き明かす6.5個の物語-電子書籍

経済学って俯瞰的な視点で物事を冷静に見つめることができて最近よい気分転換になってます。たまたま、Facebookでおすすめされてたので、楽天市場お買い物マラソンで購入しました。

作品の概要

ネズミ視点で、人々の意思決定に深く迫っていきます。

めっちゃくちゃ読みやすいです。ささっと読み進めてしまいます。

おそらく著者がゲーム理論の本質を昇華させてくれたんだと思います。本質的なところはやっぱり難しそうですわ。

考察・批評

昔から(小学生くらいかな)自分が思っていたのは、ガソリンの値段ってどうしてみんな同じくらいにするんだろう。安くしちゃえばいいのに、って。

 

その疑問を払拭させてくれました。価格競争はさらなる競争を生み、コストへと限りなく近づき、やがて潰れるといった内容でした。本質的なこととしては、こちらが価格をさげれば相手はどう思うか、どう行動してくるかといったことを推測しておくこと、または相手の価格設定の思惑を考慮すべきこと、で「人が何をするのには、理由がある。」といったことを考えさせてくれました。

 

医療現場でも、患者さんの意思決定、つまり受療行動ですかね、かなり大切な情報ですし、ここにエッセンスがあるとも思います。

まとめ

ゲーム理論面白そうです。また本屋でふらっと読んでみようかな。