【医学目線で書評】FACTFULNESS
こんにちは。stayfoolish@研修医です。
10日ぶりのupdateになります。
かくいう僕は、オリエンテーションが終わり昨日から糖尿病・内分泌内科での研修がスタートしました。
最初からいきなりmistakeを犯してしまいました。
「研修医の○○です。糖尿病・内分泌内科で1か月お世話になります。宜しくお願いいします。」
そう意気揚々とナースステーションで挨拶をしたものの、ナースさんたちから困惑(+苦笑)の表情。
「ここは中7病棟で、糖尿病・内分泌は西7病棟なんだよ。ごめんね。」
そしてもう一度挨拶を西7で行い、僕の研修が始まりましたとさ。(笑)
気を付けたいのは、しっかりコミュニケーションをとること。今回は間違えはしたものの、SBARを意識して口に出して発言すること、特に多職種に向けてのときは。
「謙虚に」というのも心掛けていきたいものです。ケンキョニstay foolish
ところーで、書評についてですが
3月下旬から4月上旬にかけて、行動経済学、医療行動経済学について学んでいました。ちょいと難しかったのですが、まとめようかなと思っていた矢先、
「FACTFULNESS」を貸してもらったので、さっそく読了してしまいました。
こりゃもう感無量、、、僕の考え方のバイブルになる1冊だと感じました。最後のあとがきで感極まってついには目頭が熱くなりました。トホホ
さっそく解説していきます。
著者について
スウェーデン生まれで、医師のハンス・ロスリングさん。FACTFULNESSは妻と娘との共著です。
FACTFULNESSの副題は
-10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣-
医学、統計学、公衆衛生学を学んだハンスさんは、アフリカでの医療に従事した経験から、経済発展・農業・貧困と健康の関連性を意識するように。グローバルヘルス学を発展させ、WHO、UNICEFでアドバイザーを務めていました。ファクトをまとめ上げたギャップマインダー社を設立しています。
ハンスさんは、事実を基に世界を見る方法を世界中に広める活動(本、TEDトークなど)を精力的に行っていましたが、、、
その矢先、末期の膵臓癌と診断されました。予定されていた講演やテレビ出演、映画製作などをすべてキャンセルし、本の執筆に全精力を注ぎました。
しかし、執筆作業中にハンスさんは息を引き取ることとなりました。享年68歳。その後、2人を中心にハンスさんの魂の叫びをようやく一冊の本にまとめあげました。
FACTFULNESS
-10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣-
書評する前から言うのも何ですが、、
この本は是非買って読んでいただきたい。是非とも。世界の見方、そして自分との向き合い方に多大な影響を与えるはずです。
ではいきましょう!
作品の概要
3択クイズから本書は始まります。世界の人口・教育・医療・環境に関する13の3択問題です。下のリンクから是非挑戦してみてください。
ハンスさんは世界各国の講演で3択問題を行い、正解率を統計しています。ハンスさん曰く「人間ってチンパンジー以下だ。」と。
3択問題は確率的には33%で正解します。しかし、地球温暖化の問題を除いて12/13で33%を大きく下回ったことが明らかになったのです。
特に、各方面の専門家、俗にいう有識者や高学歴者に関しては一般人口よりも正解率が下がるという傾向も明らかになりました。
おやおや、これはこれは、、知識がある人の方が世界を正しく見えていないとはどういうことなのだろうか?
ハンスさんは悩み悩んだ挙句、ある考えに至ります。
「知識のupdateがある人でも答えられないのは、人間の本能に原因があるのではないだろうか。」
その本能というのが「ドラマティックな本能」とハンスさんは言います。この本能は人間の人間たる所以でもありますが、ファクトを正しく向き合おうとしない一番の原因だと考えています。
このFACTFUNESSを読めば、10のドラマティックな本能を論理的に理解することができ、FACTFULNESSな世界の見方を実践することができるでしょう。
ハンスさんは大のサーカス好きです。どうしてあんなことができるのだろう、すげー、どうして、すげー、どうして。
謙虚さと好奇心が大切だとハンスさんは言います。サーカスを見る視点で「すごい!こんなことができるなんて!」と純粋な興味と驚きを抱きましょう。そういうものだとと決めつけるのではなく、事実を基に事象を見つめていくことの大切さと何より面白さが私の心を掴んではなしません。
ハンスさん、ありがとう。
10の本能のうち1つだけpickupします。正直pickupするのは、ハンスさんに忍びないのですが、そのうち特に本質的であると思ったものだけpickupです。
それは、「分断本能」です。
人間のドラマティックな本能は、対立する二つの事項を対決させることを好みます。アメリカの大統領選、正義か悪か、お金持ちか貧乏か、自国か他国か、資本主義か社会主義か、などなど
それぞれの対立を騒ぎ立ててどちらかに感情移入することはまさしくドラマティックです。このドラマティックな本能をメディアに掻き立てられていることが思い込みに繋がっているのではないかとハンスさんは考えます。
実際には分断なんてどこにもないのに。。分断本能の影響は世界に蔓延していて、どれもが大幅に歪んだデータの解釈につながってしまう。
分断本能を抑えるためにはどうしたらよいだろうか。ハンスさんは「大半の人がどこにいるか探すこと」と言います。
実際には分断なんてありません。中間の人がどこいるかを探しましょう。そのためのkeywordは「平均」と「正規分布」です。
統計学をかじったことがある人なら、下の正規分布について見たことがあると思います。
私たちが本能で分断してしまっているのは、右側左側の有意差ありと判断される外れ値なのです。よって大半のひとは中間層を形成していることになります。
めちゃくちゃ刺激的です、この図は。シンプルかつ本質的。
その上、事象を比較する上では4つのレベルに段階を分けることをハンスさんはオススメしています。分断するのではなく、正規分布を意識して正しくクラス分けをすることが非常に重要になってきます。
さらに、自分がどこからの視点で考察しているかも大切です。正規分布の外れ値に属する人の根底にある考えはやはり中間層には受け入れがたいと言わざるを得ません。
本書では、具体例を交えて面白く解説されていますが、僕は正規分布を解説するに留めておきます。この正規分布こそが本質的だと思ったからです。
考察・批評
今回は敢えて、本の内容はほとんど書評に組み込んでいません。是非ともお手元で確かめてほしいからです。残りの9つの本能が世界の統計やハンスさんの実体験、特に失敗談から学ぶことができます。
僕は、医師として論文を中心に正しく批判的に吟味する能力が必要になってきます。
印象に残ったのは、数字も主観的なデータであるということ。
「昨晩で420万人の赤ちゃんが亡くなった。」
420万人は多いですか、少ないですか。
真っ先に自分の住む町の人口と比較した人は多いと思います。(これを行動経済学でアンカリングバイアスといいます。)
そこで生じた感情で思考終了するのではなく、その数字を正しく吟味する必要があります。
「その数字を比較する他のデータはないんですか?」と問いかけなければなりません。
時間的空間的な比較。例えば、他地域との比較やその数字の時間的推移を知ることは基本的ではありますが、意識して考えているような人はほとんどいないと思います。
データを数字で捉えることは大切ですが、そこには主観が必ず入ります。数字を正しく分析したうえで、数字の背景にある物語に着目することで初めて事実を基に世界を見ることができると僕は思います。
また、「現在」の捉え方も重要です。現在は止まっているような印象を受けますが、実際はめまぐるしく時間経過とともに変化していっています。2か月で医学知識は倍増する時代ですし。
今の事実が明日正しいかどうかはわからないという認識を持ち続けたいと思います。変化し続けるためには、常に知識をupdateして、正しく事実を認識することが必要になります。
いやー、本当に面白かった。stayfoolish的圧倒的超大作ですよ。
最後にYoutube大学やサラタメさんのFACTFULNESSの書評を貼っておきます。非常に面白い解説になっています。他の人と感想を共有できるのもすごく良いですね。
まとめ
事実を正しく見れないのは、人間の「ドラマティックな本能」のせいです。正規分布を意識することで、本能を抑制することができます。分断するのではなく、クラス分けをしてみることで新たな発見があるのではないでしょうか。
from stayfoolish@研修医
好奇心はstay foolishというブログ名をつけた由来でもあります。そこに新たに「謙虚さ」を加えていきたいと思います。
ハンスさんと奥様、娘様、本と通じて出会えたことに感謝しています。
僕も、後輩医師として後に続けるように努力していきます。
それでは!
【病院経営学(仮)】診療報酬が改定されているらしいぞ
こんにちは、stayfoolish@研修医です。
4月1日から3日と新入社員の皆様、お疲れさまでした。緊張と長いオリエンテーションとでかなり疲れましたよね。よく頑張りました!パチパチパチ
幸いにもまずはモラトリウムとして土日に英気を養うことができる幸福を深く味わっております。今日の夜はカレーでした!ダイコウブツナリ
今週はオリエンテーション祭りでした。
一番疑問に思ったのが
「病院ってどういう戦略で経営しているんだろう?加算だけ意識してても市場社会の競争には勝てなくないか?」ってこと。
うちの病院は、DPC認定病院になるやら、高密度医療を高回転させていくためにもできる検査はとことん行うなどと言った方針を掲げていましたが、果たして果たして。ワケワカランワチョッピリイカリ
というか、できる検査をとことん行うっていうのは大反対ですね。
まず、患者さんにとって良くない。そして検査技師の負担が増える。オーダーするのは簡単かもしれないが、冷静に考えてほしい。
研修医的には、オーダー専門医になりたくない。検査第一主義になれば、ろくに病歴や身体所見を取らない医師を生産することになりかねない。これはまじで危険な方針だと思います。ちょっとちょっと教育病院としていかがなものなのか。
まあまあいったん落ち着いて下さい、stayfoolishさんよ、と。
経営目線からちょっくら病院を俯瞰してみようかしら、と天の声が聞こえまして、ちょいと調べてまとめてみました。
経営と経済目線から医療費について考えてみるので、使う言葉が適切でなかったり、表現がなっていないところがあるかもしれませんが、頑張ります。(笑)
病院はどうやってお金を稼いでいるのでしょうか。答えはシンプルで患者さんという顧客がいるからです。しかし、患者さんは「基本」3割しか医療費を負担していません。残りは医療保険の保険者が病院に支払っているのです。
病院の経営で一番大切なのは患者さんということもできると思います。ここで、患者さんからどのようにして医療費を頂いているのかを確認する必要があります。
ずばり診療報酬に答えはあります。2年に1回診療報酬改定がなされ、国家の戦略に沿って医療機関が向かってくれるように、診療報酬の加算を逐次変更しているのです。
例えば、急性期病院での入院期間を減らして、病診連携や介護連携を利用して、地域で患者さんを診ていく方針を国家が打ち出しているとしましょう。(実際そうです。)この場合、入院期間が長くなればなるほど、患者さんから医療費を請求できなくなる仕組みを国家が定めます。これが診療報酬改定と呼ばれます。そうすることによって、入院期間が短くしないと病院経営上、赤字になってしまいかねません。人間は利潤を追求する生き物ですから、そこを活用されて尻をたたかれ、病院が変わっていかざるを得なくさせられているともいえます。
また、DPC(Diagnosis-Procedure Combination)についても触れる必要があります。コンセプトは出来高ではなく、医療行為を包括した1日単位の包括評価として診療報酬を定めましょうということです。以前は、必要のない医療行為をして利益を得ていたなんてこともあったかもしれませんが、現在では最も医療資源を投入した疾患に対して一日当たりの診療報酬が定められているので、めちゃくちゃに無意味な医療行為は行われなくなったと思います。やっても病院が損するだけですからね。
今回の診療報酬改定において個人的に気になったことを3点ピックアップしました。細かいことは書きません。ザックリザックリト
・救急車2000件/年間、以上の医療機関に対する加算が新設
・在宅エコーの加算が新設。
・ポリファーマシー解消に向けて減薬に対しての加算の新設。
気付いたら新設ばかりピックアップしてしまいました。既存の加算内容についてあまり理解できてないのもあります。
救急車2000件は大病院だと言えます。加算を新設するのはよいですが、大病院だけでよいのかは疑問です。1次2次救急に対しての加算が設置されていないことから、大病院に救急車が流れ込むといったことが考えられ得ると思います。それこそアメリカのER型救急を目指しているのでしょうか。医療従事者的には、ER型救急の方が働きやすいのでしょうか。どうなのでしょう。
在宅エコーやポリファーマシーについては、国家がムーブメントを起こして、地域医療に従事する医師に向けてメッセージを与えてくれたことは良いことだと思います。欲を言えば、ポリファーマシー加算をもっとつけてよいと思いますが、ドラスティックな改革はいきなりは難しいということなのでしょうか。
最後に病院の未来について考察します。
2011年に混合診療が最高裁で禁止されてから「医療の非営利性」が確立されました。そこから病院のチェーン化と複合体化が進みました。簡単に言うと、ピラミッド型の地域型中央集権から外れるなという動きです。「地域完結型の医療」が推進されています。
僕は2年後には地域の診療所で働くことになりますが、病院と縁は切れません(笑)。地域完結型の医療はその地域の病院が中核として存在することが前提にあるからです。だから、病院は積極的に病診連携や介護との連携、地域づくりに本格的に舵を切らなければならないと思っています。今まで以上に患者さんの診療を「空間的時間的」に支える役割が病院に課されているのです。
なんか病院経営学に少しずつ興味を持ってきました。最初言っていた「検査をやりまくる」というのは診療報酬改定の小手先で踊らされているにすぎないということなんですね。あくまでそういう方針のようです。
大切なのは、歴史を理解し、失敗から教訓を得て、長期を見据えたうえでマインドを持ち続けていくこと。小手先で動かされているようでは誰も後をついてこないと思いますね。
えらそうなことばっか口走ってすみません。病院経営については興味があるので、もっと勉強すればまた新たな視点があると思います。
ではまた!
【些末な日常】本気でCOVID19と向き合う覚悟はあるか!?
こんにちは、stayfoolish@研修医です。
本日より、研修医生活がスタート致しました。新たな環境、新たな出会いが多くあり、個人的にはまだまだ慣れていないところがあります。
謙虚に「無知の知」を自覚し続ける2年間にすることを目標に頑張っていきます!ワカッタフリガイチバンヨクナイ
辞令式から始まり、オリエンテーションが続くのはどこの病院も似たような状況なのではないでしょうか。しかし、今年は例年とは違い、院内が緊張感に包まれているような雰囲気を感じます。
そうです!!COVID19が目の前にいるのです。
今までは、国家試験終わって呑気にコーヒー飲みながら本読んだり論文まとめてみたりブログ書いたりはしていたものの、やはり現場の緊張感は現場に行ってこそわかるものだと思いました。
感染制御部の先生が危機感迫るロジカルでリスクコミュニケーション(最近岩田先生の本で学びました)していたので、つい僕も影響されてしまいました。自分ってたぶん感染症好きなんだろうなと思いつつ、、総合診療、救急、集中治療、神経内科で迷っている今日この頃の苦悩(笑)
今日は実践あるのみということで、実際に医療現場で行われていること、そして僕自身がこれから行動していかないといけないことをまとめます!
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療の手引き」
これに沿ってます。
このflowchartが全てです。このガイドラインがここに集約されているといっても過言ではありません。
中等症以上とは、肺炎を疑うような症状(呼吸困難、湿性咳嗽)がある場合を指します。
中には、軽症例も直接病院に来てしまう場合がありますよね。そういった場合には、風邪症状があるかどうかのトリアージを行い、あれば空間的分離、時間的分離を行います。
空間的分離:車内待機、診察場所変えるなど
時間的分離:待ってもらう、他の患者さんを先に診るなど
あともう一枚だけ図を出します。これだけです。
自治医大の感染制御部長の森澤先生がひっきりなしに標準予防策について語られていたのを思い出します。今こそ実践の場なのです。というかこれが自然にできるように普段からトレーニングにはげみんしゃいと森澤先生は言っているように感じます。(笑)
PPE、Personal Protective Eqipment、個人防護具の着用方法ですね。
驚いたのが、防護具を外すときにウイルスが飛散することです。なので、正しく着脱した後の手指でもめっちゃ汚染されているということです。この後にこそ手指衛生ですね。
一向に終息の兆しは見えないですが、大切なことは、オーバーシュートを抑制することで医療資源を重症例に集中させるというシンプルなことだと思っております。
警戒の手を緩めることなく
「ガードを固めて、正しく恐れる」
油断はせず、コツコツと継続できるように。
ではまた!
【医学目線で書評】知らないと損する池上彰のお金の学校
こんにちは。stayfoolish@研修医です。
引っ越しが完了いたしまして、ホッとしている最中であります。手伝ってくださった皆様感謝です!
ところで、引っ越し終わりのごはん中に
「仮想通貨ってなんで危ないの?」
と質問を受けました。ウワヤベヨンダケドワスレテルヤツヤ
最近、池上さんとヤニスさん(娘に語る経済の人です)の本で触れられてたぞー、わかるわかるー
と思って説明を始めたのが最後、、、しっかりわかってなかったーワラワラワラ。
・国家が運用に関わっていないこと
・発行の上限が決まっていて融通が利かないこと
だけは覚えていたんですが、なんで危ないのかはあちゃまわかりませぬよ、と。
もう一回調べなおしてみましたー。セツメイッテムズカシヨ。
仮想通貨って何?
一言で言うと、国家や中央銀行が発行しないお金です。「発行主体」がないのです。
つまり、国家や中央銀行が発行している通貨ではないので、国によって使用通貨が違う、ということはありません。世界共通です。
仮想通貨の最大の課題は「信用」です。円やドル(法定通貨といいます)が「信用」を得てきたのには人類の歴史があります。
簡単に法定通貨が「信用」を得てきた歴史をまとめます。
・農業革命で余剰が生まれる。
・余剰と他のモノを交換するようになる。
・需要と供給の時間的、空間的問題(腐るとか持ち運びにくいとか)が生じる。
・価値を媒介する硬貨が生まれる。
・硬貨が重いので紙幣になる。
・偽札が出回る。
・精密なルール(後の法律)が出来る。
・紙幣を持ち運ぶのがめんどくさくなる。
・預り商(後の銀行)が出来る。
・国家が中央銀行を設置して、地方銀行を取り仕切るようになる。
ちょっと説明がとびとびな部分が多いですが、「信用」を得るために長い歴史が関わってきています。国家と法律の部分がお金と切り離せないのがポイントです。
もう一度言いますが、仮想通貨は国家や中央銀行が発行するお金ではありません。
仮想通貨で最も使用者数が多いのが、「ビットコイン」です。なにかビットコインという響きは信用できないような先入観がありません?アリマスヨネワカリマス
ビットコインは言ってしまえば「データ」です。また創設者により発行上限が決められています。ビットコインを得るためにマイニング(掘る)をします。暗号を解いてその報酬としてビットコインがもらえるようです。
マイニングはもともと金などを採掘する意味です。金も地球上で総量は決まっているので、ビットコインのために暗号を解くのも、金を掘り出すのとなんら変わりはありませんね。
ビットコインなんで危ないの?
ずばり「信用」面で失格だからです。どういうことでしょう?
池上さんはお金の定義に照らし合わせて説明してくれました。
お金の定義
1.決済手段として使えること。
2.「価値」を貯蔵しておく手段として有効であること。
3.モノの「価値」を測るための「モノサシ」として使えること。
ビットコインを定義と比較してみます。
1.ネットにつながっていれば使える可能性あり。評価はまずまず。
2.ブロックチェーンの技術を用いている。それ自体の安全性は法定通貨を凌ぐほど。評価は良い。(ブロックチェーンについては、Youtube大学がオススメ。わかりやすい。)
3.大問題!!「モノサシ」にはなりません!!
90%のお金を1%の人が貯蔵している状況です。ビットコイン-円の間の価値の上がり下がりが激しすぎるのです。今日100ビットコインで車が買えたとしても、明日100ビットコインでは食パンしか買えない状況があり得ます。1%の人がビットコインを売り払ってしまえばそれで「モノサシ」としてのお金はfly awayですね。また、国家が発行しないお金なので法律によって取り締まることができません。新たなシステムを作る必要があります。
「価値」がぶれぶれなので、ビットコインはお金として失格なのです。
逆に言うと、投資対象としてはアリですよね。しかし、長期運用して動向を確かめないとえらいこっちゃになる可能性は大ですね。
ビットコインを説明しようとすると、ブロックチェーンの理解が必須です。いまいちブロックチェーンがわからなかったので、Youtube大学をもう一回見てみました。
関連書籍を読んでからYoutube大学を再受講するとさらに染みわたる感じがしますねー。シミチョココーンオイシイヨネ
ではまた!
最後に参考文献です。
【COVID19特集4】ガードを固めて、正しく恐れる。
こんにちは、stayfoolish@研修医です。
COVID19特集が続きますね。なんか毎日情報が入ってくるので忘れないようにするためにも、とりあえずここに残しておこうかなと。
今回は、医療従事者向け動画配信サイトCareNeTVにおいて、【Dr.岡のプラチナレクチャーCOVID19特講】が無料で3/29まで閲覧可能なのを受けて、簡単にまとめていきたいと思います。
医療従事者ならば必見です!いつも通りわかりやすく論理的に解説してくれています。
ここ4ヵ月ほど臨床を離れているので、復帰リハビリとして非常に有効でした。染みわたるー。医療従事者、特に医師として臨床決断の指針となります。
結論としては、題名の通り
ガードを固めて、正しく恐れる。
そして、いつもの風邪・肺炎の診療の応用だ。
岡先生に代わってざっくりまとめていきます。
ガードとは、身体的・精神的に分けられます。
身体的なガードとは、標準予防策の徹底です。もちろん接触感染予防策、飛沫感染予防策も行います。汗を除く患者の体液に暴露する可能性がある際には、フェイスガードも含めてしっかり防護しましょう!
精神的なガードとは、COVID19の可能性を否定しないことです。例えば、PCR陰性でもPCR陽性の感染者との暴露が明らかな場合、つまり検査前確率が高い場合は、偽陰性の可能性が非常に高いですし、PCR陰性だとしてもCOVIDの可能性は高いです。そういった場合には繰り返しPCR検査を行い、陰性であることを確認することが現実的な対処となります。一番やってはいけないことは、一回のPCR陰性でCOVID19である可能性を除外してしますことです。精神的なガードを常に保ちましょう!
COVID19の大半は軽症で、その場合は風邪と臨床症状は変わりません。鑑別ポイントは「経過」です。
よって、全身症状(発熱、倦怠感など)、上気道症状(咳嗽、呼吸困難など)を来しうる、つまり日常の風邪診療を徹底しましょうとのことです。風邪症候群以外の急性疾患が除外できたら、次に行うことは自宅療養です。残念ながら14%で重症化してしまいますが、現在のところ有効な治療法はありません。よって、感染拡大防止・院内感染防止と医療供給を重症例に集中させるという観点からの積極的自宅療養です。
PCR検査については
疫学調査の目的を除き、COVID19が蔓延した場合に無症状はもちろん、軽症者のPCR検査は行うべきではない。と
PCR陽性だとしても治療法はないこと、陰性のときに本疾患を除外できないことが理由です。
PCR陰性の場合に
・感染制御がおろそかになるリスク
・検査をすることでかえって感染が拡大するリスク
・患者集中による医療施設の疲弊
・一定数に生じるであろう偽陽性による混乱
・検査コストの問題
などのデメリットが大きいです。
陰性の場合にガードが緩みやすいのです。
予防と治療については、現在言われている通りです。
重要なのは、臨床医としてガードを固めて日常の風邪診療と肺炎診療を続けていくに尽きます。
僕は、岡先生の臨床感染症家として、日常診療の基本を中心としてガードを固めていく方針に、さすがだと思いました。
まだ、責任ある医療従事者として病棟に出ていません。COVID19との戦いは、短期戦ではありません。長距離をバテないように強い意志を持ち続けていかなければいけないと感じます。そのためにも、岡先生の日常診療の応用だという考え方は「ほんとうにさすがだなあ、なるほど」と思います。
一方で、PCR検査のパラドックスに言及せざるをえません。有効な治療法がない中で、PCR検査をやみくもに行うことは、その方法如何によっては感染拡大や院内感染を起こしえないことなどがデメリットとして挙げられていますが、疫学調査の一面としては、PCRを実施せざるを得ないということです。
ドライブスルー検査に関しては、東京という地域全体で行うことは物理的に不可能であると思います。現段階では、感染者のクラスターを徹底的に検査していくのが現実的だと僕は思います。
なんか最近文章が堅苦しくなってきた気がする。。っていうのもまだまだ情報収集に精一杯なのがばれちゃってる感じかな。。
もう少しで初期研修が始まるから緊張しているのかもしれないねー(笑)
ではまた!
【COVID19特集3】with コロナ という考え方 from Newspicks
こんにちは、stayfoolish@研修医です。
引っ越しの春!!ということで
新居の引っ越しの準備をぼちぼちと始めていますよ。洗濯機のレンタルをお願いしようと思ったんだけど、どの会社も2年レンタルだと買った方が安くなっちゃうんよねー。
メルカリとかヤフオフとかジモティっていう手段もあったけど、壊れてるのめんどくさいから普通に買おうかなー。
今回は、最近はまっているNewspicksで落合陽一さんを中心として、医療政策、感染症、社会学の専門家が
「オーバーシュート、重要局面」
という小池都知事の声明を受けてのLive Discussionが非常に面白く。
専門家の歯切れのよい説明と、落合さんの的確な鋭い質問を聞いていて痛快。
その中で落合陽一さんが「with コロナ」と発言していたのが印象的でそれについて今回考察してみます。
指定感染症という足かせ
結論から言うと、
「指定感染症」というフレーミングがあることで、医療崩壊を招く可能性があります。
厚生労働省のページですが、
端的に言うと、感染が判明次第、入院措置がマストなところが問題なのです。
現在では、感染しても80%の人が無症候、軽症で経過するというデータがあります。だから、こういった軽症例をいかに自宅でみるかが医療資源を重症例に注力できるかのポイントになります。
にもかかわらず、指定感染症であるので感染者の大多数の軽症例まで入院管理しないといけなくなるわけです。これは明らかにおかしいです。そういったデータがあるので、積極的に活用して、指定感染症としてではなく、新型コロナウイルス感染症・COVID19の位置づけを修正していく必要があると感じます。
LINE公式アカウント 新型コロナ対策パーソナルサポート
このLIVE配信では、LINEで罹患の有無のデータを収集できる
「新型コロナパーソナルサポート」が紹介されていました。
是非みなさんも調べてみてください。各都道府県で体制が整ってきていると思います。
友達追加して、質問に答えていくだけです。簡単カンタン
このような感染状況、国際情勢になってしまった以上は、検査前確率ゆうゆうの問題ではなく、死亡者数を抑えるという命題に向けてみんなが足並みを揃える必要があります。
死亡者数を抑えるためには、重症例に適切に医療資源を配分する。そのためには、軽症例は入院すべきではない。また軽症例の背後に隠れるクラスターを発見するためにLINEなどを利用して情報を収集すべき。そしてその情報を分析して次の対応に繋げるべし。
と考えます!
with コロナ という考え方
オリンピックも延期となり、感染者数が増加の一途を辿っています。
現段階で、感染者数がゼロになることは想像がつきませんよね。よって、コロナにうまく対処していかなければならないと落合さんは語ります。
一番難しいのは、ロックダウンや自粛の止め際です。今まで前例はありませんから。
前にも書いたことだと思いますが、国民がコロナを受容し、対処法を適切に把握するようになって始めて、コロナ収束が見えてくるものだと思います。
それには時間がかかると思いますが、時間しか解決してくれるものはないとも思います。医療従事者としてできることは、正しい情報を適切に伝え続けていくことかなと思っています。
しかしながら現在、ロックダウンが検討されている中で東京がどうなるのかが心配です。恐らく国家の下で緊急事態宣言がなされた上でロックダウンが施行されたとしても、日本においては強制力は発生しえないと専門家は言います。そんな法律はないからです。自衛隊が治安維持隊として効力を発揮する可能性はありますが。
民主主義を保ちながら、素早く刻々と変化する事態に対応することは非常に難しいことだと感じています。
次は政治について勉強してみたいところだが、もう少しで研修生活が始まってしまうというパラドックス!!
ではまた!
【映画短評】きっと、うまくいく
こんにちは、stayfoolish@研修医です。
今日は大学の友人のかいかい@研修医がブログを始めた報告をくれました!!
嬉しすぎる!!
継続が一番の課題ですので、かいかいと励ましながら出来たらいいなと陰ながら思っております。コツコツ続けていきましょい。最高のモチベーションになりました。
研修が始まる前に読みたい本がいっぱいあったのですが、まだまだ読めてない本が、、、
ちょっと計画性が足りなかったです。読むだけならできるけど、アウトプットとなると厳しいですね。けど、アウトプットをブログとして記録化してみて思うことは、本を端的に理解し、それを実践してこそ読書の醍醐味なのだと思うようになりました。
行動経済学、医療行動経済学については3月中にまとめます!と宣言してみたり
本日は、インド映画「きっと、うまくいく」の映画短評をします。
結論から言うと、同じインド映画で大好きな「スラムドック$ミリオネラ」を凌いでしまいました。登場人物のキャラクター、ストーリーともに最高でした!!
さっそく短評していきます。
どんな映画?
2009年公開で、当時インド映画歴代興行収入1位を記録しています。
工科大学を舞台にした、教育問題をテーマにしたコメディヒューマンストーリーです。
どんなストーリー?
工学に好奇心旺盛で学ぶことが大好きなランチョー、動物を撮るカメラマンに憧れるファルハーン、苦学ゆえに神に祈ることをやめないラージューの3人が工科大学に入学し、ルームメイトに。
ランチョーは持ち前の自由奔放で権威に恐れることなく、競争、権力、富、名声の権化ともいえる学長に真っ向から対立していき、その姿に他の2人も共感し、巻き込まれていく。結局、型にとらわれない勉強を続けたランチョーが首席で卒業することとなった。
そして10年後、思い出の地で居合わせたファルハーンとラージューは、卒業後消息不明のランチョーを捜索する。果たしてランチョーは、大学時代から10年を経て何をしているのか、
そこは実際あなたの目で確かめてほしい(笑)
感想をつらつらと
メッセージ性が多く盛り込まれたコメディであるが、一番は「教育」についてだろう。
主人公のランチョーは学長に向かって
「僕が知りたいのは点数の取り方ではなく、学問なんだ。競争としての学問はつまらない。」
とせまります。いやまあこの迫り方がほんとに痛快で!
この作品で描かれているのは、競争が目的になってしまっている学問のあり方についてです。この点を考察します。
確かに学問を理解できているかどうかを客観的に見るためには、点数化は有効だと考えます。それは特に、入学試験や資格試験においては公平性という点においても合理的であると考えます。
この作品で描かれているように、点数を取るためだけに勉強することは果たして悪いことでしょうか。
僕は、必ずしも真っ向から点数を取るための勉強を否定することはしません。確かに点数を取りたいだけが目的ならそれは理解できません。何がモチベーションなのかいまいちわかりませんよね。目標を実現するために点数が必要となったときには、勉強をして点数を取りに行くことは、そこに至る積み重ねの努力を含めて、僕は必ずプロセス自体に価値があると思っています。しかし、あくまで点数は通過地点であって、それ自体に執着する必要は全くないと考えています。
今、考察したのは基本的には受験勉強ですかね。僕は医学部に入るまで2浪していて、どうしても苦手の国語が克服できずにどうしようもなく、点数を取りに行くためだけの国語の勉強を余儀なくされました。あれはほんとに苦痛でしたねー。
けれども医学部に入って、系統講義(各診療科について)を学び始めたときから全体を俯瞰して体系的に覚えていくことの楽しさを知りました。病棟実習に出ると知識を働かせて「使える知識、話せる知識、説明できる知識」の勉強にはまりました。医学、とくに臨床推論が好きになっていました。
自然と好きになっていくことができたので、4年生からの勉強で点数を取りに行く意識なく楽しく勉強することができたのかなと振り返って思います。僕は過去問や一問一答を詰め込むことを頑なに嫌って、自分の気になったことや目の前のProblemを解決していくことを中心に取り組むことに夢中になってました。詰め込み教育に小さく反抗している自分がいました。
卒業してみて思うことは、医学に関しては幅広い視点を持つように意識してきたことはよかったと思っている反面、医学しか学んでこなかったことを本当に後悔しています。一般的な教養、ニュースを読み解く力や本当に全力で遊ぶ(チャレンジしていく)ことはできていなかったと反省しています。
6年生で多く実習をする機会があったので、その際に医学以外の視点を持つことやコミュニティーの重要性を学べて本当に良かったです。ラストチャンスでした。
よって勉強は幅広く自分の気のすむまで気長にやることが大切かなと思ってます。
あくまで点数はpassしてしまえば何も役に立ちませんし。
この映画でもう一点気になったのは、インド人の文化と宗教についてです。
またですか、、と、2月にインド行ってきたので、どうしてもそこで学んだことをベースとして映画を見てしまいます。
この映画では、命の誕生のお産のシーン、結婚式、葬式などと生と死がダイナミックに描かれます。それを起点として物語が急変していく様は、生と死に関わるイベントがいかにインド人にとって密接なのかを表していると感じました。
また、おそらくヒンドゥー教がベースの作品であるにも関わらず、カースト制度を否定している(カースト制度はヒンドゥー教においては暗黙の了解とされている)ことやヒンドゥー教においてあまり好ましく思われていない飲酒(第二宗派のイスラム教では禁忌とされている)シーンが多く描かれていたりと、宗教やしきたりのみにとらわれない生き方からの脱却を感じさせるシーンが多かったのも印象的でした。
一方で、インドは資本主義に一直線で向かおうとしています。
残念ながら、実際的に格差がどんどん生まれていくのは必至だと思います。インドではお金がないとヒンドゥー語しか教育されず、高校大学は基本的に英語で行われるので、同じ土台にも立つことができません。
しかしその中でも「All is well」「きっと、うまくいく」と事態をポジティブにとらえ、自分のやりたいことの中に幸福を見つけていくという本質的なものをこの作品から見出すことができました。
他と競争して比較される個ではなく、自分のやりたいことをして生きる主体性としての個の価値を再認識しました。
最後に一番好きなシーンを発表します!!
カメラマンのファルハーンが子供をエンジニアにさせたい親を説得させて
「ラップトップを売ってプロのカメラを買わないとね」
のシーンでした。あのシーンは反則です。涙なしには見れません。。。
以上2点、教育とインド文化背景を考察してみました。
はたまた!!